新型コロナ感染症と子どものこころ(8)

5.対応に対する提案

先ほども言いました年齢に応じた形での正確な情報提供が必要です。なかなか小さいお子さんだと難しいかもしれませんけれども、いろいろな歌を使ったり人形を使ったりして、伝えられるものはできるだけ伝えることが必要です。

この状態で起こりやすい心理的問題について、例えば、どきどきするということに関して、どうなっちゃうだろうと思うとどきどきするよねなどと、それが当たり前であることを伝える必要もあります。いらいらすることに関しても同じです。例えばお友達と会えなかったりすると、いらいらするのも、お母さんやお父さんに何か言われると、いらいらするのも当然ということを教えてあげて、その対処法を一緒に考えることが必要です。

不安な時などにリラクセーションが有効です。呼吸法。それから、力をぎゅーっと入れて、すとーんと抜くと、少しリラックスした感じを得ることができますので、そういうリラクセーションの方法を習得してもらうのです。呼吸法としては、大きく息を吸った後、口からゆっくり吐くのです。大きく息を吸って、ふっと吐いちゃうんじゃなくて、大きく息を吸って、長い時間をかけてゆっくり口から吐いていく。そうすると、全身の力が抜けたという感覚を得ることができます。本当は、皆さんと一緒の場所でこれができるのでしたら、一緒に呼吸法をやれたら良いのですけれども、オンラインでの事前収録ですのでそうはいかないのが残念です。手をマッサージすることもよいですし、お互いに背中をなで合ったりということもリラクセーションにつながります。

不安なときに子どもたちが自分自身でどうしたらいいかということを学ぶということは、対処方法が増えるということになり、とても大切なことです。あとは子どの力を引き出すことです。コロナの感染症に関して子ども達皆に教え、皆で自分たちはどうしたらいいかを、子どもたち自身にも考えてもらってそれを分かち合うということが大切なことだと思います。とんでもない意見でもかまいません。それを自分たちで考えて発表し、その話を聞いてもらえただけでも子どもたちは違います。自分たちの意見を言う機会を与えてあげることはとても大切なことです。上からの指示だけじゃなくて、自分たちが考える力をつけることにもなりますし、意見を聴いてもらえるというのは、子どもたちにとって大切なことです。

おうちへ帰ったら、家族との話合いをどうするかも大切です。学校とか保育園で教わったリラクセーション法を、家族でやれるようにしてあげたり、感染症に関して家族で話し合うことをできるだけ勧めてあげることです。ただ、御家族がなかなかうまくいっていない、あるいは独り親の御家庭で、お仕事をされていてなかなか話合いができないという御家庭もありますので、強制的なことはしないほうがいいと思いますが、家族で話し合うというのも一つなんだということは教えてあげる必要があると思います。

一般の子どもへ(学校などで、個別に)

もう一つ重要なことは、先ほど言いました格差が広がるということがありますので、格差が広がったことで増えてくるハイリスクの方々、ハイリスク家庭へのセーフティーネットをつくるということが重要だと思います。新型コロナウイルスの問題で、子ども家庭の危険に関して周知がなされ、そして、ハイリスク群の早期発見と介入がなされることが必要です。

この御家庭はコロナでストレスがかかっていて、ちょっと危ない状態にあるとか、親子の間がよくないので、このままいったら、例えば虐待のようなことになってしまうのではないかというような不安があるときは、できるだけ早く地域の福祉のほうに、要支援家庭ということで、御連絡を入れていただき、皆さんでその家庭を支えていくという方向に動いていくことが大切です。

ただ、現在少し問題なのは、地域での支援の要になっていた保健師さんが、今、コロナで多忙なのです。これをどうするかというのは大きな問題と思います。ですから、その分誰かが支援者としてカバーしてあげなければいけません。市区町村などでは、できるだけこの支援者を増やすということを考えていただきたいと思っています。そして、ハイリスク群へのサポートを強化しなければならないと思っています。

また、新しい時代の支援に関する議論が必要だと思います。SNSを利用した子どもの相談体制とか、要保護・要支援児童の居場所そして養育の場の提供、そして遠隔対応を含む新たな居場所の提供なんていうのもあってもいいんだろうと思います。こういうことも考えていくべきだろうと思います。

格差増大で増えるハイリスク群へのセーフティネット