イントロダクション「2020年を振り返って」(1)
皆さん、こんにちは。埼玉県立小児医療センターの岡と申します。本日は座長を務めさせていただきます。
よろしくお願いいたします。
まず、公益財団法人母子健康協会、第41回シンポジウムに御参加いただきまして、誠にありがとうございます。今年度は新型コロナウイルス流行ということで、どういう形で開催するかということについては、協会のほうでもいろいろと検討していただき、このような形、ウェブを使った開催という形にさせていただきました。幸い、大勢の方が御参加いただいていると伺っております。大変うれしいことだと思います。
そして、今回のシンポジウムは、新型コロナウイルスと子どもたちの生活というテーマにさせていただきました。藤井先生、奥山先生には、それぞれの御専門の立場から、保育所での生活、そしてまた子どもたちへの心の問題、そういったような点についてお話を頂くことになっております。
最初に少し私のほうで、このシンポジウムを、こういう企画を考えた経緯も含めて御説明をさせていただきたいと思います。それではスライドをちょっとお示ししますのでお待ちください。
まず、このシンポジウムを企画した最大の理由は、皆さんにお伝えしたいこととして私からの感謝の気持ちがあります。保育関係者の皆様には本当に心から御礼を申し上げたいと思っています。緊急事態宣言の下でも、私ども医療関係者の子どもたちは保育園に行くことができました。本当に皆さんのおかげで医療も続けることができたと思っています。
私は今、病院の責任者をさせていただいておりますけれども、去年の緊急事態宣言が発令されたときに、まず最初に幹部が集まって相談したことは、あしたから職員が本当に出勤できるのだろうかということをまず検討しました。そこで各部門に、あしたからお子さんを預けられないということで出勤できない人はどれだけいますかということを調べました。
そうしましたら、実はほとんどの方が出勤を続けられるというお返事でした。何人か小学校に通っていられる方が、何かの事情で休まないといけないという方が数人いらっしゃいましたけれども、ほとんど皆さん続けてお仕事ができるという状況でした。つまり、保育園でお子さんたちを預かっていただけたわけですね。
また、皆様は緊急事態宣言後も保育所を続ける中で、非常に厳重な感染対策をされたと思います。特に最初の頃は、感染対策をどうやったらいいのかということは、必ずしも十分な知見がまとまっていませんでしたので、私ども病院も大変苦労しました。恐らく、保育の現場もそうだったと思います。感染対策をしながらの保育は大変な御苦労だったと思いますので、その点についても本当に心から御礼を申し上げたいと思っています。
さて、少し2020年を振り返るということで考えてみました。どんなことを私たちが経験してきたかということですけれども、去年の今頃、1月から2月の頃を考えてみますと、正直戸惑いといいますか、困惑していたという状況じゃないかと思います。
お隣の中国で、武漢という初めて名前を聞く都市で何か原因不明の肺炎が発生して、武漢という本当に大きな都市が閉鎖するというようなニュースを聞きました。本当に武漢の市民の方が気の毒だなと思いました。その原因が新型コロナウイルスだと原因のウイルスが明らかにされ、そしてそれはヒトからヒトへ感染するんだということが確認されたのが、去年の1月の段階だったと思います。そういうニュースを身近に聞きながら、非常に戸惑っていたというのが私たちの状況だったのではではないかと思います。
1月の末にWHOが国際的な緊急事態ですよということも宣言して、ああ、これはやっぱり世界的に大変なんだと思いました。そうこうするうちに2月の初めには、横浜港に感染者を乗せたクルーズ船が寄港するということで、日本全体が大きな騒ぎとなりました。本当にこの頃は日々のニュースを聞きながら、これからどうなるのだろう、戸惑っていたということになります。そして、2月には国内でも残念ながら感染で亡くなる方の報道もあって、いや、これは少しずつ私たちの身近なところに近寄ってきているなということを感じていた時期だと思います。
そして3月以降になりますと、今度は非常に大きな不安を抱えながらの生活になっていたのではないかと思います。3月の初めからは学校の休校が始まりました。そしてまた、いろいろな中国での経験、あるいは日本での経験の中から、3密で感染するということが明らかにされて、このことによって少しはどういうふうな対策を立てればいいのかなというのが見えてきたという感じがいたしました。