公益財団法人 母子健康協会 第41回シンポジウム
「新型コロナウイルスと子どもたちの生活」

「新型コロナ感染症と子どものこころ」ということでお話をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

1.ショックな事実

皆さん、新型コロナウイルス感染症に関してはかなり長くなっているので、疲れられておられるんじゃないかなと思いますが、最近ショックなニュースも飛び込んできております。これですね。小中学生と高校生の自殺者の数が非常に多くなっているという図です。このニュースを聞く前に、大人でも女性の自殺が増えているというようなことが言われていましたが、やはり小中学生と高校生の自殺が増えているというのは、私たちにとって非常にショッキングな出来事だったと思います。詳しく見ると、女子高校生の増加が有意に多い、中学生も実数が増加しているというふうに書かれておりました。

この上のグラフは、自殺者の数です。亡くなったお子さんの数ですから、未遂はその十数倍ある、数十倍あると言われていますので、未遂ということも考えていかなきゃならないです。特に未遂に関しては、男子より女子のほうが多いのは、全国あるいは世界中そうなので、女の子さんのほうにリスクが高いのかなと思っています。

では、なぜ自殺が増加するんだろう、コロナウイルスの感染症の影響が、どんなふうにあるんだろうと考えてみました。

1つは、社会全体がとても不安になっている。今、私たちも、特に東京なんかに住んでおりますと、いつ自粛の期間が明けるのかということもとても不安ですし、この先どうなるんだろう、いつまで続くんだろうという不安は、全ての人が持っているんではないかと思います。この先どうなってしまうのかという不安が社会全体に蔓延しているといいますか、ニュースを見ていてもそういうニュースばかりが入ってくるということになります。

後でお話ししますが、生活が困窮してくる方々がいる。もちろん全員が困窮するわけじゃないんですけれども、そういうことももしかするとこの背景にあるのかもしれません。実は、この背景の分析というのはまだなされておりませんので、推測するしかないということになるわけですが、どのぐらいこれが影響しているのかということは分からないですけれども、可能性としてはあるだろうと思います。

ただ、私自身は、この3番目が非常に大きな問題ではないかなと思っています。孤立化ですね。ステイホームと言われて遊びに行っちゃいけないとか、できるだけ家にいなさい。休み、土日もあまり友達と遊ぶなというようなことが言われたり、一時期は学校が休校になったりということもありました。もう少し大きな子どもたちになると、今、私たちがやっているようにウェブでの授業ということになっているような学校もあります。小中学校は、まだそうなっていないのでいいんですけれども。