ウィズコロナと保育所での子どもの生活(8)
新型コロナウイルス感染症が疑われ、検査を受ける、受けた人が発生した場合、検査を受ける日、結果が分かる日、有症状者は症状が出た日を確認しましょう。感染期間の行動履歴についてあらかじめ確認して記録します。症状が出た日から前、遡って2日間が感染期間となりますので、その間の職員や園児さんの行動について確認が必要になります。保育所全体で発熱や咳、鼻水、倦怠感、頭痛、味覚・嗅覚障害、下痢、倦怠感などを認める人がほかにいないかどうかの確認も必要になります。これは記録用紙をあらかじめ用意して記録をすることが必要になると思います。
検査を受けた人が陽性と分かった場合。管轄保健所及び行政の保育課と連携し、積極的疫学調査に協力をします。積極的疫学調査は、個々の患者発生を元にクラスターが発生していることを把握し、原則的には後方視的にその感染源を推定するとともに、前方視的に濃厚接触者を行動制限等により封じ込めを図ることであると感染研で言われていますが、この積極的疫学調査によって、直接的には陽性者周囲の濃厚接触者の把握と適切な管理、間接的には陽性者に関連して感染伝播のリスクが高いと考えられた施設の休業や個人の活動の自粛の要請などの対応を実施することによって、次なるクラスターの連鎖を防ぐために行うものとされています。
調査が入る場合には、個人情報の提供について保護者の同意を得て、連絡は保健所とそごが生じないように細心の注意を払う。濃厚接触者となった子ども及び職員はPCR検査が陰性であっても、潜伏期間の14日間は自宅待機となります。陽性者と最終接触した日をゼロ日としての14日間となります。
濃厚接触者についてです。コロナ感染症陽性者と手で触れることのできる距離、目安として1メートルで、必要な感染予防策なしで陽性者と15分以上の接触があった者、周辺の環境や接触の状況など個々の状況から患者の感染性を総合的に判断すると、国立感染症研究所の疫学センターから出されています。みなと保健所からのお知らせで、「区内の保育所における事例報告」の調査結果の中で、保育所では陽性者が職員の場合は担当する園児や園内で近距離でマスクを外して会話をした職員、会食した職員。園児が陽性者の場合は、同じクラスの園児やおんぶなど近距離で15分以上接触した職員などとしています。
濃厚接触者以外の子どもや職員の対応についてです。施設は全て消毒が完了してから保育を再開します。施設の休園期間や範囲は、管轄の保健所や行政の保育課と相談し、決定を行ってください。
これは、保育所などにおける新型コロナウイルス感染症疑似症例が起こったとき、感染者が発生したときの対応フローです。こちらを参考に、各保育所で行政や管轄の保健所に確認をして、どういった行動になるかというところを確認しておいていただくのがよいかと思われます。
終わりに。職員が濃厚接触者にならないためです。保育所において、園児が感染症対策を強化することは容易ではありませんが、職員が濃厚接触者とならないようにすることは最も重要と考えます。体調の把握、検温や記録を取ること、体調不良時は出勤を控えること、手洗いを徹底すること、マスクを外す場面は最低1メートル、できれば2メートル離れること、職員同士が大人数での会食を避けること、パソコンなど複数の人が触れるものは使用ごとに消毒すること、ロッカーや休憩室でも感染予防対策を忘れないようにしていただければと思います。
次に、保護者会や卒園式などの行事についてです。年度末は、保護者会や卒園式などの行事について検討、もう決定している時期かとも思いますが、限られた施設環境で例年どおりの開催は難しいといえます。しかし、保護者や子どもたちの貴重な機会を保障していただくために、中止の決断は最後にしていただき、施設としてどのような方法ならできるのかを職員皆さんで考えていただければと思います。
職員間の連携強化については、乳幼児が集団生活を送る保育所において、感染症予防を図ることは困難なことも多くあります。コロナ感染症に関しても、各保育所で感染予防を様々に工夫し、細心の注意を払い、子どもたちの安全確保に尽力されていることと思います。しかし、流行が続くため、感染の拡大への不安は計り知れないものです。ぜひ、職員間での連携を強化することによって、この大変な時期を乗り越えていただけたらと思っております。そして、日頃から嘱託医や保健所や行政との連携を図り、相談することでこの困難な状況を乗り越えていくことができればと考えております。
以上で、私の今日のお話を終わりにさせていただきます。御清聴ありがとうございました。参考文献・引用文献はこのスライドのとおりです。