新型コロナ感染症と子どものこころ(9)

最後に、先ほどお話ししましたように、災害を乗り越えるには「絆」が必要です。みんなで寄り添ってこの難関を突破していく、つまり乗り越えなければならないわけです。コロナ時代の生活様式での絆をどうつくるのかということをみんなで出し合って、それを考えていくということがとても大切ではないかと思います。

その「絆」ということの一つなんですけれども、分断化されない、社会が互いに信頼し合うということが大切です。どうしてもトラウマがあると怒りが出てきて、怒りが向かうと分断化が起きてきます。そして、格差が広がると、さらに分断化が起きてきます。そこで、「絆」ができないということになりがちです。社会がお互いに信頼し合うということをもう一回考え直すということが必要だと思います。

そして、社会が信頼し合うために基礎となることの一つ、つまり、社会の不信を取り除くためには、正確な情報が必要です。分からないものは分からないという情報も必要だと思いますが、正確な情報と透明性、そして、そこに明確な論理性があること。これは欠かせないことだろうと思います。

それは、子どもも同じです。子どもは分からないだろうではなくて、子どもにも年齢に応じた正確な情報を与えるということが、とても大切なことです。分からないでおしまい、こうしなさいだけでおしまいにするのではなくて、「ばい菌さん」という擬人化しての説明も良いと思いますが、年齢に応じた方法で情報を教えてあげるということが必要なのです。子どもにも適切な情報を与えて、子どもの主体性の獲得ということをしていかなければならないはずです。

最後に

ということで、今日の講演はこれでおしまいにさせていただきたいと思います。どうも御清聴ありがとうございました。