ウィズコロナと保育所での子どもの生活(2)
新型コロナウイルスの環境での残存時間は、室温21度から23度、湿度40%で、プラスチックで3日間、ステンレスで二、三日、段ボールで24時間程度、空気中では3時間程度とされています。感染している人が咳やくしゃみ、会話をした際に、病原体の含まれた小さな水滴が口から飛び出し、これを近くにいる人が吸い込むことで感染します。これが飛沫感染です。飛沫は、飛び散る範囲は1から2メートルと言われています。
保育所では特に、子ども同士や職員との距離が近く、日頃から親しく会話を交わしたり、集団で遊んだり、歌を歌ったりするなどの環境にあります。また、子どもの中には、様々な感染症に感受性が高い、感受性が高いというのは、予防するための免疫が弱く、感染した場合に発症しやすい人です。この感受性が高い人が多く存在します。飛沫感染は多くの場合、飛沫を浴びないようにすることで防ぐことができます。感染した人から2メートル以上離れることや、感染者がマスクを着用するなど、咳エチケットを確実に実施することが、保育所での呼吸器感染症の集団発生の予防に有効となります。また、咳などがない無症状感染者が多いこと、発症の2日前から人に感染させることなどから、流行期には、たとえ発熱や咳などの症状がなくても、飛沫対策としてのマスクの着用が必要です。
次に、接触感染についてです。感染源に直接触れることで伝播が起こる感染、握手やだっこやキスなどと、汚染されたものを介して伝播が起こる間接接触による感染、ドアノブや手すり、遊具などを触ることによって起こるものがあります。通常、接触感染は、体の表面に病原体が付着しただけでは感染は成立しませんが、病原体が体内に侵入することで感染が成立します。咳やくしゃみをした人が汚染されたドアノブを触る。その汚染されたドアノブを触った人が目を触ったりすること、こういったスイッチなども触って、口や鼻などを触ることによって、付着した病原体がその方にうつっていくということになります。病原体が付着した手や口、鼻、または目を触ること、病原体の付着した遊具等をなめることなどによって、病原体が体内に侵入していきます。また、傷のある皮膚から病原体が侵入する場合もあります。飛沫が付着した体や物品を触ることによって、手にウイルスが付着し、最終的にはその手で口や鼻、目を触ることによって接触感染が起きます。そのため、手洗いなどの手指衛生が重要な対策となります。
接触感染の保育所での対策についてです。新型コロナウイルスは膜、エンベロープを持つウイルスのため、消毒や洗浄によってウイルスの膜が壊される弱いウイルスです。最も重要な対策は、手洗いなどにより手指を清潔に保つことです。タオルの共有は絶対にしないでください。
新型コロナウイルスに有効な消毒液と洗剤は、アルコール消毒液70%以上95%未満。次亜塩素酸ナトリウム。平時は環境消毒0.02%、感染時は0.05%とされています。塩化ベンザルコニウム、逆性石けんなどです。また、界面活性剤を含む洗剤も有効とされています。
次亜塩素酸ナトリウムは、全ての微生物に有効ですが、皮膚への刺激が強いこと、目に入る、吸い込むなど、健康被害につながることもあります。アルカリ性であり、揮発性が高く、有毒ガスを発生することがあるので注意が必要です。使用上は、換気をして手袋を着用すること、用法・用量に従って使用すること、子どもの手の届くところには置かず、使用後はすぐに元に戻すこと、金属製品に使用した場合には水拭きをすること、血液、嘔吐物、下痢便など十分に取り除いてから行うことが必要です。また、作り置きをしないこと、スプレーボトルで噴霧しないこと、手指消毒には利用しないこと、医薬品、医薬部外品には使用期限が必ず書いてありますので、その使用期限を必ず確認してください。
次亜塩素酸水が、コロナウイルスの消毒に取り上げられているかと思いますが、先ほど紹介した次亜塩素酸ナトリウムと、次亜塩素酸水は違うものです。次亜塩素酸水の手指消毒については未評価で、物のウイルス対策をする場合ということに限定されています。また、使用方法について、厚労省のほうから出されているので、表面をひたひたにぬらし、少し時間を置く、20秒以上という、今までにはなかった消毒方法を用いています。子どもや高齢者のいるところでは転倒事故に注意することと、使用が保育現場では難しい状況ではないかと考えております。新型ウイルス対策として検討されたもので、下痢や嘔吐の症状など、主にノロウイルスなどの感染性胃腸炎の際には、次亜塩素酸水ではなくて次亜塩素酸ナトリウムを使っていただければと思います。
新型コロナウイルス感染症の感染経路の3つ目は、マイクロ飛沫感染についてです。換気の悪い密閉空間では、5マイクロメートル未満の粒子が数時間、空気中を漂うと言われています。マイクロ飛沫は2メートル以上離れた距離にも届き、保育所での対策が必要です。
マスクの着用。唾液によるマイクロ飛沫を抑えるために有効とされています。フェースシールドやマウスシールドは、科学的に証明されておらず、マスクの代わりにはならないと言われています。マスクを着用していて感染症対策をしているので濃厚接触者にならない場合に、フェースシールドやマウスシールドでは感染症対策をしているとならないというところです。
換気。感染症の伝播を防ぐためには、部屋のウイルス量を下げるために、部屋の十分な換気を行うことが大切です。
三密を避ける。換気の悪い密閉空間、たくさんの人が集まる密集場所、近距離で会話や発生をする密接場面は、集団感染が起きやすい場所となります。