ウィズコロナと保育所での子どもの生活(1)

はじめに

皆さんこんにちは。ただいま御紹介をいただきました、全国保育所保健師看護師連絡会の藤井と申します。

今日は「ウィズコロナと保育所での子どもの生活」ということで、私のほうからお話をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

まずはじめに、保育所等における感染症対策ガイドラインに書かれていますように、乳幼児が集団生活を送る上で、感染症予防を図ることは困難なことも多くあります。保育所における乳幼児の生活と行動の特徴として、集団での午睡や食事、遊びなどでは、子ども同士が濃厚に接触することが多いため、飛沫感染や接触感染が生じやすいということに留意が必要です。特に乳児は、床をはい、また手に触れるものを何でもなめるといった行動上の特徴があるため、接触感染には十分に留意が必要です。乳幼児が自ら正しいマスクの着用や適切な手洗いの実施、物品の衛生的な取扱いなど、基本的な衛生対策を十分に行うことは難しいため、大人からの援助や配慮が必要です。保育所等での新型コロナウイルス感染症の感染拡大が懸念される中で、保育現場でどのように対応していくか、現場で役立つ具体的な手引の作成が急務であると考え、新型コロナウイルス感染症に関する最新知識を基に、全国保育園保健師看護師連絡会では、ガイドブックを作成いたしました。

ガイドブックの内容

本日はその内容について、新たな情報を交えながらお話しさせていただきます。ガイドブックの内容は、第1章、新型コロナウイルス感染症の基礎知識と感染拡大の予防の原則。第2章、保育所における感染拡大予防対策。第3章、子どもたちへのケア。第4章、職員への教育とメンタルヘルス支援となっております。

第1章 新型コロナウイルス感染症の基礎知識と感染拡大の予防の原則

第1章では新型コロナウイルス感染症の基礎知識、情報を書いております。

(1)新型コロナウイルス感染症の臨床的な特徴です。皆さん御存じかと思うのですけれども、1から14日間、5日間が最も多いとされる潜伏期間を経て、発熱や呼吸器症状、全身倦怠感等で発症します。風邪に似た症状が1週間前後持続することが多く、この頃から胸部レントゲン写真や胸部CTなどで肺炎像が明らかになることがあります。一部のものは呼吸困難などの症状を呈し、重症化します。また、発症者の多くが軽症であると考えられていますが、特に基礎疾患などを有する者においては重篤になる可能性があるため、厳重な注意が必要です。

第1章 新型コロナウイルス感染症の基礎知識と感染拡大の予防の原則

新型コロナウイルスの臨床的な特徴の中で、無症状病原体保有者がいます。臨床的な特徴を呈していませんが、検査によって新型コロナウイルスを保有していることが確認された者です。

感染期間は、発症、発熱や咽頭痛、咳などの症状が出る2日前から、発症後10日間がウイルスを持つ人がほかの人に感染を起こす期間と言われています。無症状で検査で陽性となった場合は検査日が発症日となっています。感染の割合は、無症候感染者が全体の5%程度、発症する前の感染者から全体の46%、発症した人からの感染が全体の38%、物など環境を介した感染が全体の10%と言われております。

(1)新型コロナウイルス感染症の臨床的な特徴

次に、新型コロナウイルス感染症の子どもの特徴についてです。子どもの場合、無症状や軽症者が多く、重症例は4.4%、重篤例は0.9%と言われております。初発症状は低頻度で、発熱は43.1%、咳は43.4%、多呼吸・息切れは12.6%であり、呼吸困難や呼吸窮迫症候群の合併はまれと言われております。消化器症状は成人に比べて多く、下痢は6.6%、便中のウイルス陽性率は86%で、最大4週間検出されています。子どもの感染経路の6割以上が家庭内からと言われ、6%程度が保育施設や学童、習い事などの職員からであり、大人からの感染例が多いと言われています。

(2)新型コロナウイルス感染症の子どもの特徴

保育施設での感染対策のポイントは、職員が施設内に新型コロナウイルスを持ち込まない、大人、保護者や職員から子どもたちへの感染を防ぐ、おむつ交換時の衛生管理の徹底が大切です。

次に、感染経路についてです。感染経路は、飛沫感染、接触感染、マイクロ飛沫感染が言われています。マイクロ飛沫感染は換気が不十分な室内での大声や会話、運動などによって生じます。新型コロナウイルス感染症の場合には、飛沫感染・接触感染が主な感染経路であり、マイクロ飛沫感染の頻度は低いと言われています。

(3)新型コロナウイルス感染症の感染経路・感染期間