1.安らぎの物質オキシトシン(1)

それでは、最初に、私が「安らぎの物質オキシトシン」についての話をさせていただきます。

レジュメと、レジュメの前に要約があります。全部見ていただくと内容がわかるようになっております。内容が沢山ありますので、不明な点が、ございましたらぜひ質問をしてください。

日本にタッチケアが導入されて以来、タッチケアにいろいろな効果があることが判明いたしましたが、なぜ効果があるのかは不明でありました。ところが、最近、スウェーデンにおける長年のタッチケアの実践と研究により、タッチケアの効果と安らぎの物質オキシトシンが関係していることが判明いたしました。本日は、スウェーデンの研究をもとに、オキシトシンの作用機序や効果などについて、お話をいたします。人間における「安らぎと結びつき」システムについてですけれども、生理学は、生きている人間あるいは動物が、いかに機能するかを解明する学問です。今までは、ストレスや危機に直面した時にどう反応するかということの研究が行われておりました。即ち、逃げ去るか、それと闘うかの研究が主でありました。

ところが、人間は闘争の反対型のシーソーの端に、体が安らぎを得るためのシステムを備えていたのです。人間の機能は総て対になっております。危機やストレスに直面したときと、対になっているのがオキシトシンが関係する安らぎのシステムなのです。

片方にストレスがあって、その反対側に安らぎのシステムがあるという図

これは、片方にストレスがあって、その反対側に安らぎのシステムがあるという図でございます。人間は健康を保つために、この対の機能のバランスを取りながら生活しているのです。

その生物学的マーカーこそがオキシトシン、安らぎの物質だったわけです。