2.ふれあい保育の実際(2)

子どもが生まれてしばらくの間は、母子が離れるのは、お母さんがトイレに入っているときと子ども自身が眠った時ぐらいで、あとはお母さんと一緒にべったりです。

そういう中でちょっとママがいなくなると、「ママは?ママどこ行った? ママどこ行った?」と泣き叫んで、ママがトイレから帰ってくると、「はい、ママいるよ、ごめんね。いるじゃない、大丈夫、大丈夫」。子どもは心の中で「ママ帰ってきた、ママ帰ってきた」と思います。またママがいなくなると、「ママは? ママ!」「はい、ママいるよ」「ママ帰ってきた、帰ってきた」というのを繰り返しているうちに、だんだんと、「ははあ、このママってのは必ず復活するんだな」ということを子どもが信用するようになる。

そのうちだんだんと、例えば保育園へ行っている間、ママと一緒にいないけれど、ママはずっと自分のことを思っているし、時間が来て状況が許せばまたママのところに必ず戻れるようになる。ママはずっと僕のことを思ってくれているということ、ママに受け入れられているということを、普段から信じるようになるのだろうと思います。

愛着の形成というのは、簡単に言うとそんなことかなと思いますが、愛着の形成がうまくいかなかった子どもたちの中に、ほかの人とうまくかかわれなくなっている子どもたちがいる。お母さんから、洗濯された洋服で清潔に育てられてこないと、「不潔では気持ち悪い」という気持ちは育ちません。そういうものがうまくいかない子がたくさんいるということが言われ始めています。そんな様子が反応性愛着障害と呼ばれています。

大好きな人が嫌がることをしないでおこうということから、倫理観というものが育っていくのですが、そんなこともうまく育たなかったりということが言われています。大事にされている、受け入れられているということを子どもが信じてくれるために、大人はそれをどう表現するかということがテーマです。

愛着形成