3.タッチケアのきっかけと日本における広まり(5)

4.タッチケアのひろまり

そんな流れの中ではじめられたタッチケアが、NICUの保育器の中から家に帰ってお母さんが自宅で、さらにそれが今、保育所、幼稚園、小児科外来、病棟から、療育施設、そしてお年寄りの介護施設にまで広がっているのです。産科医院でもお産して帰られたお母さんと子どもが来て、タッチケアをやっています。見てください。お母さんの顔の表情を見ただけで大体おわかりになると思います。みんなうれしそうです。楽しそうです。今はこのように群れて集うことも重要なのです。

保育園でもお昼寝をしにくい子にタッチケアをしてやると効果があり、集団行動のとれない落ち着かない子にも有効な結果が出ています。

このようなひろまりの原因は、例えば病院なんかでやり始めると、病院の看護師さん、職員が変わります。やさしくなるんです。保育園でも、保育園の先生そのものがやさしくなります。未熟児の赤ちゃんにやっていたお母さんと同じです。施す方も変わってくるのですが、これは、まさに前川先生がおっしゃったオキシトシン効果がすごく関係しています。タッチケアされると、施される側にオキシトシンが分泌されますが、より以上に施す側のお母さんのほうにもオキシトシン分泌が増え、愛情がわいてくるんですね。まさに子育てホルモンで、すごいことですが、これがひろまりの大きなポイントだと思われます。

産科退院児のタッチケアタッチケアの奥深い生理(オキシトシン効果)