3.タッチケアのきっかけと日本における広まり(6)

5.療育・児童発達センターでの試み

重心施設で障害で車椅子になった人にも、裸にしてさするわけにはいきませんから、肩もみでいいので、こうしてゆったり話しかけてやると、それだけでもこんないい顔になります。これもタッチケアの一つです。

重心施設でも…

一方、NICUから送られた子どもですが、痙攣状態で高緊張の子には一生懸命タッチケアできません。これこそホールディングです。そっと、おひかりさんみたいにじーっと手を当ててやるだけで、緊張がスーッととれていくのです。

だから、一つ一つ、やり方には違いがあります。

もう一つ、私たちは今、3~4才ぐらいまでの〝ちょっと気になる子(発達おくれ?)〟に、児童発達支援センターでタッチケアを取り入れて実施しています。

どんぐりセンター若楠 児童発達支援センター

例えば自閉症で紹介されてきた子がここで治っていくんですよ。ということは、それは本当の自閉症ではなかったということですが。

今、環境による影響がすごく多く見られます。聞くと、共稼ぎが多い、片親がいない、夜一緒に食事もできない、お父さんの顔が見えない、テレビのつけっぱなし、それから、「しょっちゅう怒っていました」、そういう言葉がお母さんから返ってきます。

そういうことをしっかり聞いて、これはもう療育なんかに行くよりも、「親と子を離さずに一緒に遊ばせてみよう」ということで、保育士、心理士、小児科医、言語治療士で親子と一緒に遊びます。「こうしなさい」はないです。そうやってずっと見ていると変わってくるのです。親が変わってきます。親が変わると子どもも変わります。今、これはすごく新しい面白い試みです。発達支援センターでもタッチケアというものをやっているわけで、まさに乳児期の親子のキャッチボール(ふれあい)の復習ともいえます。

結論を言いますと、タッチケアの心というのはまさに「ふれ愛」なのです。ふれ愛というのは、Hug、ゆする、さする、手を置く、握り合う、通じ合う、受け入れる、そして寄り添う。心をこめてふれあうとお互いに癒されます。それを見ていますと、まさに安心感、満足感、幸せ感を皆で共有してしまうのです。やっている人も受けている人も一緒にこういう体験をしていくわけです。

それでコミュニケーションを培うのです。

タッチケアのこころは”ふれ愛”