2.ふれあい保育の実際(8)
いろいろな保育園にお願いして、研究をさせてもらったり、その後は乳児院に行ったりしました。また、障害児施設でも研究をさせていただきました。障害児施設には、家庭の面会が途絶えてしまっている子どもたちもたくさんいます。誰ともかかわれないで自分のうんちで遊ぶ、そういう子がいました。だれかに触られるのが大嫌い。自分のうんちを触って遊ぶわけです。そのかわり、ご飯を置いていると自分で食べて、眠たくなったら自分で寝て、という子にタッチケアが始まりました。その子が、触れらることを嫌がるんです。泣いて、身をよじって嫌がるのですが、たった2週間で、担当の保育士さんが来ると、自分で横になって洋服をめくるようになりました。うんちいじりも激減。その保育士さんに聞くと、自分がタッチするときと、ほかの保育士さんがするときでは効果が違うのだそうです。やはり担当の保育士のほうが安心して受け入れてくれる。担当の保育士でないとちょっとぎこちない。「本当の担当はお母さんなんでしょうけどね」と言っていました。特別な状況で育ってきた子どもですので、そういうふうに目に見える違いが出てきたように思います。普段から愛されている子どもたちでは、ここまで目に見える効果はないけれども、きっと心の中では同じようなことがおこっているのだろうなと思いました。ただ手技として、タッチケアだったらよかったわけではなくて、誰かが、好きよ、一緒にいると気持ちいいね、ということを教えてくれさえすれば何でもよかったのだろうと思います。
ふれあいや、マッサージをうたうグループの中にはオカルトめいたことを言うハンドパワーのような、そういうグループもありますし、触れるということで生計を立てようとしているグループもいます。私は、プロが勉強するのにお金を使うのは当たり前だと思います。しかし、できればそれを家庭には無料で届けたい、そんな思いがタッチケア協会の活動の中にはあると思ってもらえるといいと思います。
もう一度言いますが、愛着形成支援というタイプの育児支援であるいうことを認識して下さい。「受け入れられている」ということが子どもたちのパワーになるのです。
さて、今日は、保育士さんが多いと聞きました。そこでぜひ、お伝えしたかったことを申し上げます。