2.ふれあい保育の実際(3)
ごらんの写真は新生児センターで行われているカンガルーケアです。昔は、保育器越し、窓越しに赤ちゃんと面会していたお母さんが、ざっくりした服を着て、裸の胸に赤ちゃんを抱っこして、じっとしている。そんな面会の仕方を「カンガルーケア」と言います。時々、パパ・カンガルーケアがいたり、ダブル・カンガルーケアがあったり、いろいろなケースがありますが、このことで小さく生まれた赤ちゃんの体重の増加がよくなったり、お母さんのおっぱいの出がよくなるということが言われて、全国の新生児センターで大ブームですし、皆さんもお聞きになったことはあるかもしれません。
ただ、赤ちゃんが成熟してくると、赤ちゃんがもう少し、ソワソワ、ゴソゴソ、動き出します。そうすると、お母さんもじっと抱いているだけではなくて、背中をさすったり、ほっぺたを突っついたり、手を握ったり、語りかけたりということが行われ始めます。もう少し積極的にかかわろうという時期だと言えるでしょう。その時期の試みとしてタッチケアが生まれてきたと思ってもらっていいと思います。このように、私たちのタッチケアの経験は新生児センターから始まっていきました。新生児センターでお母さんと赤ちゃんが離れて暮らしている状態から、家庭での育児への準備でもあり、赤ちゃんと家族との気持ちをつなぐ試みだと思ってもらっていいと思います。
海外では、ストレスホルモンが減るとか、体重の伸びがよくなるとか、そういう生理学なことも観察されていますが、私たち日本での試みは、主に愛着の形成に注目して研究が行われてきたと思っていいと思います。