4.総合討論(15)

吉永私も少し話をさせてもらっていいでしょうか。またちょっと違う話になりますけれども、乳幼児を見ると、昔から第一次反抗期と言われるものがあります。2歳、3歳ぐらいでしょうか。自分で何かをしようと思ったときにちょっと手伝うと、「自分でするはずだったのに!」と、キーキーガーガー言う。「はい、じゃあ自分でしなさい」と言っても、もうもとには戻らない。地団駄踏んで悔しがってという時期もあって、どうやらそれは、自分が何をしでかしても、どんな人物でも、ママは自分のことを嫌いにならないということを信じているので、「ママの馬鹿」「ママ死ね」ということが言えると言われています。ですから、最近は第一次反抗期と言わずに、「自我の目覚めの時期」というふうに呼び直そうとも言われています。

今日、お話をしましたように、ずっとママがそばにいて自分のことを思ってくれている、自分が受け入れられているということを無条件に信じることができる過程が、乳幼児期のポイントだと私は思っています。うまくいかなかった時、将来、取り返しがつかないかどうかと言われたら、わかりません。中には上手に取り返しが、小学校、中学校でつく人もいるのかもしれませんが、それにはすごい努力が必要でしょうし、理屈ではなかなかうまくいかないところがあると思います。乳幼児期から普通に親子関係がうまくいって、おっぱいあげて、抱っこして、お風呂へ入って、一緒に遊んでということがうまくいけば、何も苦労することなく、自分はママに無条件で受け入れられているということを、子どもが信じることができるようになるのだろうと思います。

そういう意味では、乳幼児期の一番のポイントは、そこにあるような気がしています。

橋本今、反抗期という言葉が出ましたけれども、僕も反抗期というのは昔からカットで3歳は「自我の芽生え期」、これが正しい言い方なんですけど、自我の芽生え期と言うのは面倒くさいので、私は一言で、「3歳の子どもの特徴は?」といったら、「いたずら」ですね。いたずらが3歳の子どもの特徴です。だから、人に迷惑かけないいたずらだったら、一緒に喜んでおればいい。それが自我の芽生えだと思います。

私は、健診をするときに、次の親子を前のソファに座らせて待たせます。3歳の子がお母さんの横に5分間、じーっと座っていると、僕は健診をしながら、それを見て「ん? 何かちょっとおかしいな」と。

3歳の子が5分間、じーっとお母さんの横に座っている。お母さんから見たらお利口な子ですよ。でも、僕らから見たらちょっとおかしい。おもちゃとか何かいっぱいあったら、大体そっちへ来て、おもちゃで遊んだりするのが当たり前なんですけれども、お母さんのお利口さんと僕らから見る子どもとは、ちょっとそういう誤差がありますね。

だから、3歳の子はうんといたずらしてほしい。そこで目覚めてほしいというふうに思いますし、幼稚園でもそうです。今、幼稚園でもなかなか遊ばせられない環境が多くなってきました。なぜかというと、怪我をしたら先生の責任が問われ、それで辞めていった園の先生もおられます。

私は今、園医として保護者にも必ず、「この幼稚園に入るためには、皆さん、骨の一本ぐらい提供してくださいね」と言います。「骨が折れるくらい子どもには遊ばせます、この時期の怪我は勲章ですよ」とお母さんたちに言う。もっと自然の中で遊んでほしいですね。自然のふれあい、そこで子どもは子ども同志でいっぱい学んでいくのだと思っています。

前川どうぞ。