2.ふれあい保育の実際(5)
タッチケア協会は、いろいろな研究をしてまいりました。また、新生児センターでの体験を通して、お母さんたちに話をしてきました。皆さんの資料にはタッチケア実施上の注意や手技が書いてありますが、これを一つ一つおはなしするとそれだけで終わってしまいますので、重要なことだけ、いくつかお話します。
大切なことは、視線をよく合わせます。eye-to-eyecontactですね。タッチケアは、ふれあいの一つの方法として、皮膚に触れるという行為だけではなく、五感を通してふれあう時間を楽しむ行為だというふうに理解していただければいいかなと思います。また、タッチする人の手と、赤ちゃんの体との接触面を多くします。
「マザーリーズmotherese」という言葉があります。mothereseという言葉をご存じの方はどのくらいいらっしゃいますでしょうか? ポツポツ手が上がっていますね。今日は、タッチケアと一緒にmothereseという言葉も、持って帰っていただきましょう。中国人がしゃべる言葉はチャイニーズです、日本人がしゃべる言葉がジャパニーズです。ママが赤ちゃんにしゃべりかけるような、「○○ちゃん? おっぱい飲んだ?」というような、ちょっとキーが上がって、語尾上がりの、赤ちゃんに話しかけるようなイントネーションの話し方をmothereseと言います。このmothereseだけでも、赤ちゃんのここちよさの感覚が刺激されるという研究もありますので、今日はmothereseという言葉と、タッチケアをセットで持って帰っていただければと思います。
また、不快刺激は逆効果になることに注意します。赤ちゃんがスヤスヤ寝ているときや、強く泣いているときに、「今からタッチケアという良いことをしてあげるのだからいやでも我慢しなさい」となると、それはちょっと違いますね。気持ちいいことが原則です。
きちんとした順番と、きちんとした時間と、きちんとした手順をしっかり守りましょうということもない。本当は、親子のふれあいをもう一回見直そうねという話なのですから、親子にとって気持ちのいい方法があれば、それでよいと考えます。順序や回数にこだわらず、日常生活の中にとり入れていただきたいですね。