4.総合討論(1)
前川それでは、これから、皆様からいただいたご質問を元にして、各自が分担して答えていきたいと思います。
最初に僕からいきますと、「幼い頃というのはいつですか」という質問です。
幼い頃というのは、赤ちゃんのときから幼児までです。それで、十分抱っこしたりするのは、早ければ早いほど良いのです。例えば、小学校に上がる頃までになったら回復するには大変ですね。要するに、育て直しによってよくはなりますが、ある程度、心とかいろんなことが育つのは早ければ早いほどいいわけです。ある程度、高い年齢になっても、育て直しができますが、十分に回復するまでに、時間と手間が物すごく掛かってしまいます。
では次に吉永先生から。
吉永「保育所でどうやってタッチケア実践するか」というご質問が多いようです。今日は講演の時には手技のお話をする時間がありませんでしたので、時間をいただいて、少しだけ手技のお話をします。
タッチケア協会が講習会を受講される方に伝えている手技は、3~4カ月を前後に2 つに分かれます。3~4カ月より小さな赤ちゃんたちと、3~4カ月より上の、首がしっかりした赤ちゃんたちとの手技に分かれて、3~4カ月未満の赤ちゃんたちは、背中だとか、足だとか、腕だとか、わりと大きなところを大きく触れていきます。3~4カ月を過ぎると、ほっぺだとか、指だとか、足の裏だとか、ちょっと細かいところに。それから、一緒に語り合ったり、笑い合ったりという遊びの要素も含まれてきます。ところが、3~4歳を超えてくると、お昼寝の時間に、背中だとか、足だとか、また小さな頃の手技に戻っていく感じがします。保育所で実践しているタッチケアの実際の方法は、パジャマの下に手を入れて背中を大きく回したり、上下になでたりということが中心のタッチケアです。
洋服の上からでいけないということはないと思いますが、できれば、肌と肌のふれあいということを考えると、パジャマの下に手を入れてということで行われているところが多いようです。お昼寝の時間にというところが多いようですが、その時間でないと効果がないというわけではありません。おしくらまんじゅうだとか、かわりばんこに手をコチョコチョだとか、ふれあうこととみんなと一緒にいることを楽しむという意味合いでは、同じ目的の中にあるものだろうと思います。
手技には、3つ、コツがあると言われています。1つは、子どもの皮膚とマッサージする人の手の接触面積を広くとるということ。それから、多少のプレッシャーをかけます。スリスリではなくて、ズリッ、ズリッ、ズリッという感じです。指が通った跡が一瞬白くなります。もう一つは、「ゆっくり」ということです。この3つのことが、老若男女を問わずのコツだろうと言われています。
ただし、絶対というものはない。