4.総合討論(20)

吉永同じ診断名でも、病気の程度や個性などで一人一人違うところもあるので、一概に言いづらいところがありますが、お母さんのことも忘れないでいただきたい。開業した後に、私のところで診ていた子で、元は超低出生体重児で生まれた子が、人工呼吸管理が長くて、その後退院しました。その後、何か熱がある、咳があるというときに、しょっちゅう外来に来ていた子どもがいらっしゃいます。診察をして、「よくなってますよ。大丈夫。お薬出しておくね」という話をしました。「ありがとうございました。じゃあ、またお願いしまーす」と帰ろうとしたお母さんに、「お母さん、頑張ってますね。大変でしょう。本当に頑張ってますよ」という話をしたんです。突然お母さんの動きがピタッと止まって、涙がたくさんと出てきまして、「先生、私、偉いんですよ。私って本当に頑張ってる。先生、私、本当に偉いんですよ」と。「だけど、初めて褒めてもらいました」と言われました。周囲にいたうちのスタッフもその姿を見て涙目になっていました。

これから多分、いろんな障害をもった方に会うと思います。その母親がどこに自分の夢を持っていくかだとか。日常生活をどうするかだとか。障害児がいることでご家族との関係がうまくいかなくなるお母さんたちもたくさんいらっしゃいます。みなさんに、うちの子を守ってもらえていると思ってもらうことと同時に、お母さん自身の気持ちをサポートすることも忘れずにいていただけたらなと思いました。

質問者ありがとうございます。

前川外来でいろいろなお母さんがいらっしゃいますが、親の話を聞いて、それに共感して、親が一度泣くといいんですね。それから肩の重荷がとれて、お互いに交流がいくみたいです。それは僕の一つの経験的なことですけど。

ほかに、どなたかいらっしゃいますか。

吉永感想でも何でも結構です。

前川どうぞ。