1.安らぎの物質オキシトシン(3)

オキシトシンの働きを知るには、どこで産生されているかということで、解剖学的に必要な場所が2カ所あります。視床下部と下垂体です。後で図を見てください。脳下垂体というのは知っていますね? 脳下垂体の上に視床下部があって、それから視床に行くわけです【図1】。オキシトシンの産生部位は、視床下部の視策上核と室傍核で産生されます。下垂体で産生されたオキシトシンが下垂体後葉に送られて、ホルモンとして血中に放出されるほかに、下垂体を経ずに視床下部から長い神経の軸索を通って標的細胞に運ばれてオキシトシンを分泌し、神経伝達物質の役割も果たしております。

図1のイメージ

オキシトシンを産生する視策上核や室傍核には、大きい細胞と小さい細胞がございまして、大きい細胞で産生されたオキシトシンは、下垂体後葉に運ばれて血中に放出され、ホルモンとして作用しております。これに対して、小さい細胞で産生されたオキシトシンは軸索を通って脳のさまざまな部位に運ばれ、神経伝達物質としてオキシトシンを分泌しています。すなわち、オキシトシンはホルモンと神経伝達物質の二役を演じているわけでございます。

これは産生細胞で、大きい細胞が後葉に行ってホルモンとして作用する。小さい細胞が軸索で、ほかの部位に出ているということでございます【図2】

図2のイメージ

これは、神経細胞の模式図です。神経細胞はアメーバのような沢山の樹上突起を出し、これらから種々の情報を得ます。神経細胞から一本の長い神経線維が出ており、これが軸索です。上の図は、軸索がほかの細胞、標的細胞まで行ってオキシトシンを分泌している図です。下の図が下垂体後葉に行ってオキシトシンが血中に放出され、ホルモンとして作用している図です。【図3】

図3のイメージ

これは、軸索がいろいろな部位に行って作用している図です【図4】。細かくてわかりませんが、嗅球、海馬、視床下部、縫線核、青斑核といろいろなところに行ってオキシトシンの作用をしているわけです。

図4のイメージ