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座談会「子どもとおやつ」

前川ありがとうございます。次に、高木先生、小児歯科の立場から、先生はどういうふうにお考えになりますか。

高木小児歯科医の高木でございます。まず最初に、私が歯学教育を受けた頃は子どもたちの虫歯がものすごく氾濫していて、大変な状況でした。その原因として標的になっていたのが間食で、1960年代にいろいろな報告がありました。例えば、(資料を提示して)こういうグラフが出ていますけれども、1日の間食の回数と虫歯の頻度が明らかに関係があるという報告がなされています。これは米国ですけれども、日本でも同じような調査結果があり、小児歯科医が虫歯の洪水と戦っていくのに、間食というのは非常によろしくないという認識を持っておりました。特に回数が増えれば増えるほど虫歯が多くなると考えられているのです。

しかし、実際には、間食がどうして取られているかということを考えながら対応する必要があります。書籍を調べてみますと、栄養補給にどうしても必要であると小児歯科の教科書にも書いてあります。しかし、栄養補給のためには間食は必要であるが、実際の間食はどういう形で与えられているかというと、かなりおやつ的な要素、つまりスイーツが多いという状況になっていて、本来の間食という意味合いから実態は少しずれているのではないかと感じておりました。

ただ、口の機能という面から考えていくと、甘いものが本当によろしくないのかというと、そうではないとも言えます。甘いものはみんな好きなわけだから、それはそれなりの理由があるということが考えられます。いろいろ調べてみると、甘いものを摂取して血糖値が上がれば、βエンドルフィンを含めた脳内物質が出てきて、幸せな気分になるし、興奮はおさまり、落ち着く。そういった生理作用があるので、これを否定するのは難しいと思います。従来、間食と楽しみとしてのおやつが同義であるという認識を私たちは持っていなかったのですけれども、そういった砂糖の生理的な機能を考えると、やはりおやつ的な要素を含めた上で、日常の間食、あるいは、おやつというものの見直しをしなければいけないかなというのが、今、小児歯科で考えられつつあるということだと思います。

ですから、間食というのが本来の栄養補給だけであるとすると、今の飽食の時代にはあまり必要ないかもしれないけれど、内容が、甘味のものに偏ってきている状況があるので、それに対しては、虫歯との因果関係がいろいろ証明されているところもあるので、食べ方(接し方)について検討していかなくはいけないかなと、そういう考えを持っています。

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