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財団法人母子健康協会 第31回シンポジウム 「保育園・幼稚園における感染症と対応」
4.総合討論(9)

佐藤感染症については大体質問にお答えできたように思います。少し残っているのが、最初に私が話した内容のものが何点か残りましたので進めていきます。

手洗いのことで、「ハンカチをポケットに携帯してビチョビチョじゃないですか」というような質問です。

それについては、トイレの前とお部屋の前に1つずつ、フックに引っ掛けた個人用のタオルがついています。それで、トイレで手を拭くものと、外で遊んだ後手を拭くものに使い分けをしています。そして、徐々に携帯しているハンカチを使っていきます。ハンカチを使っていますと、おっしゃるとおり、ハンカチが普通の綿のものだと1回で濡れてしまいます。そのため、ハンカチタオルを使ったりして、少しでも濡れてしまう分を吸収できるものを使っています。使い捨てのペーパータオルを使用している園もあると思うので、そのようなものを使って衛生的に手を拭くということに、意識を持たれながら進めることは大変良いことだと思います。

それから、保護者への伝え方ということで、「掲示の仕方等、どのようにしていますか」という質問が何点かありました。

園児が感染症にかかったときに参考にしているのが、やはりこのガイドラインで、25ページからです。主な感染症ごとに、病原体潜伏期、感染経路、症状、診断、治療方法、予防方法、感染期間、登園基準、集団保育において留意すべき事項などが書かれています。

私はガイドラインを見る前は、自分のわかりやすい本などを参考にしながら、「A型インフルエンザが出ました、症状は何度の熱、潜伏期がどう、登園許可証のご協力をお願いします」などと掲示を作っていたのですが、ガイドラインはとても見やすいので、参考にされるといいのではないかと思います。

それから、手洗いのところで、いま寒くて、「石けんで手を洗うのを嫌がります」という質問もありました。それが不思議なのですが、ゼロ歳から順番に計画的にやっていると、子どもたちは習慣になっていて、「手を洗おう」という意識があって、ハイ、手を洗ってくださいと言うと、みんな水道の前にちゃんと行きます。

ただ、年齢が高い幼児は、おっしゃるとおり、冷たいと思って雑になるお子さんもいるかもしれませんが、それは、保育士さんが見守って声をかけていく必要はあるのではないかと思います。「もっとよーく石けんで手を洗ってね」というような声かけは大事だと思います。

固形石けん、液体石けん、泡等ありますが、どのようなものでも確実に手を洗えることが大切だと思います。石けんが泡立たないということでは泡のほうが良いかもしれませんし、ちゃんと泡立てられる練習をすれば、固形石けんでも十分だと思います。それぞれの利点をよく判断しながら、各園で使っていくことが大事だと思います。

それから、消毒方法の中でアルコールというお話があります。確かにインフルエンザウイルスに関しては、アルコールのほうが効果があるという指導があった園があると思いますが、それについても、併用していくことと、ガイドラインの基準も参考にしていく。
ガイドラインは21年8月の発行ですので、最新の情報なども確認しながら、一番確実で、園でやりやすい方法を考えて皆で実行していくことが大切だと思います。

そして、職員の方にどのように実行してもらうかということでは、本当に皆が一緒にやるということが大切です。手洗いの所でもお話しましたが、各クラスの先生が同じ気持ちを持って行うことが、すごく効果があります。ですから、各園でどんな方法を考えたとしても、1クラス、2クラスだけではなく、全体で何か一つをしていただくと、「ああ、こういう方法があるんだ」という実感が得られるのではないかと思います。

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