先天性免疫不全症について
富山大学大学院医学薬学研究部 小児科学教授 宮脇利男先生
子どもをもつ親になってみて初めて分かることは、子どもは風邪を沢山引きながら、育っていくものであることを実感するものです。でも、他の子どもに比べ、熱の出かたが多いのではないか、肺炎や中耳炎にかかり過ぎるのではないか、何かからだに弱いところがあるのではと心配になることのある親御さんもいらっしゃるのではないでしょうか。先天性免疫不全症は、風邪の原因になるウイルス、細菌等の病原体に対するからだの抵抗力に重要な働きをする免疫系のどこかに、生まれつき欠陥があり、肺炎や中耳炎等の感染症を繰り返したり重症化したりして、時に命に関わることのある困った病気です。先天性免疫不全症は、とてもまれな病気ですが、早期に診断し、適切な治療を行えば、普通の生活を送ることができます。何よりも、早めに専門の先生に相談することが求められます。