先天性免疫不全症について
富山大学大学院医学薬学研究部 小児科学教授 宮脇利男先生
どの家族もみな子どもたちが健康で笑顔を保ち育ってくれることを願っています。しかし、先天性免疫不全症という本当にまれな病気であることを告げられ困惑し、将来に不安をもつ患者・家族に、私自身、慰めの言葉がみつからないのが本心です。先天性免疫不全症をもつ患者/家族の団体として、NPO法人PIつばさの会があります(http://npo-pidtsuBasa.org)。「設立のこころ」に載っている一節には、こうあります。
PID(原発性免疫不全症)は、わたしたちが生きていくために最も大切な免疫細胞が生まれつき何かの原因で血液中に欠けていたり機能しなかったりする難病です。あまりにも稀少な病気であるため医師の正しい診断・治療や周囲の理解を得られないことも多く、患者やその家族は、病気そのものではなく不安や孤独とも闘わなければならないという厳しい状況にあります。そんなPID患者の希望と光となるよう設立されたのが「PIDつばさの会」です。
先天性免疫不全症をもつ患者、家族だけではなく、専門医も集い、勉強会や相談会、医療の改善を求め、厚生労働省や政治家に働きかける活動も行っています。私自身、永年、先天性免疫不全症の診療、研究に携わってきましたこともあり、本会の理事長を昨年から務めさせていただいています。