前川おやつは「八つ」の午後の間食、3時ぐらいに何か食べること、と解釈していいのではないかと思います、私が小児科医になった頃、高木先生もそうだと思いますが、小児科や小児歯科の教科書にはおやつという言葉があったのです。育児書にも栄養の本にもおやつという言葉があったのです。ところが、最近の小児科や小児歯科の教科書、育児書にはおやつという言葉が載っていないのです。これはどうしてですか。おやつという言葉が間食と混同してマイナスイメージがあるからですか。
巷野と思います。おやつというと食事という感じがしますよね、3時頃で、決まったものというね。大人が食べるようなものですね。間食というと、非常に自由的な意味合いがないですか。
前川どうですか。
吉田逆のように思いますけれども。
巷野あ、そうですか。
高木歯科は、巷野先生がおっしゃったようなニュアンスです。おやつのような間食を問題にしているので、間食のほうがどうも悪いイメージです。ですが、間食の意義ということについて調べてみると、きちっと栄養補給ということが書いてあるんです。
前川本当に子どもに間食が必要かどうか、お墨付きか欲しかったのです。そこで探しましたら、地域保健法が施行されたときに、厚生労働省児童家庭局が監修した「母子保健マニュアル」という本があるのです。その中の「幼児の栄養」のところに、1日の食事のエネルギーの配分例というので、「1〜2歳までは間食を2回やって、必要エネルギーの15〜20%を与えなくてはいけない」。それから、「3歳から5歳児(これは学校へ行く前の子どもです)は1日1回で、10〜15%のエネルギーを与えなくてはいけない」、幼児にはおやつが必要であるという墨付きがあるのです。ですから一般の考えは、子どもには栄養補給の意味での間食にしろ、おやつが必要だということだと思います。
間食の回数ということで、「母子保健マニュアル」には、1〜2歳は2回ぐらい、3〜6歳は1回ぐらいと書いてありますが、これについてはどうですか。
高木私の立場からすると、そのとおりに摂取さえしていただければ、虫歯との因果関係というか、そういった関係はなくなっていくのではないかと思います。問題なのは、間食の回数が1〜2回ではなくて、もっと3〜4回とか、要は規則正しくないおやつ、あるいは間食のとり方をするのが、口の中の病気の原因になっていると言われていますので、1日2回あるいは1日1回の間食というふうに、しかも規則正しく摂取していただければ、歯科の問題というのはかなりクリアできると私は思っています。