和田早速、お話をさせていただきます。
私の講演内容は、「園医の立場から」ということで、保育園における感染症対策についてお話をしたいと思います。レジュメがございますが、レジュメに沿ってお話を進めていきます。
平成21年4月より施行されました「保育所保育方針」では、保育保健のさらなる質の向上のために新たな提言が加わりました。とりわけ、健康・安全対策に関しましては、保育園全体で組織的に取り組み、しかも、地域ぐるみの密接な連携のもとに運営する方向で動き始めました。
そして、先ほどもお話がございましたけれども、平成21年8月より、「保育所における感染症対策ガイドライン」が発表されました。具体的には、各保育園で健康安全対策の組織をつくり、さらに地域における支援体制の整備が望まれているわけであります。
今回、私が嘱託医をしている足立区は、東京の端っこ、埼玉県との県境にございますけれども、足立区での取り組みなどを紹介しながら、保育園における感染症対策について考えを述べていきたいと思います。
私は、大学に20年間勤務した後、平成4年から開業しております。足立区に開業してから、平成8年から足立区の医師会の理事を4期務め、その後に副会長を2期務めました。
その間に、小児・保育園に関係する事業は次の様((1)〜(10))なことを設置したり、スタートさせて頂きました。
(1)足立区医師会に保育園部設置(平成8年)
(2)足立区感染症サーベイランス設置(平成9年)
(3)足立区予防接種向上委員会(平成12年)
(4)足立区内保育園・幼稚園における小児感染症対策への専門的支援体制の構築に関する研究(平成15年)
→保育園における感染症に関するアンケート(平成22年8月)
(5)水痘ワクチン公費助成(平成17年)足立区1〜2歳児5000円助成
(6)足立区保育園登園基準作成(平成18年)
→「保育園における感染症の手引き」((財)こども未来財団:平成19年)
→「保育所における感染症対策ガイドライン」
(厚労省 保育課:平成21年8月)
(7)足立区登園許可書(意見書)の無料化(平成19年)
(8)足立区医師会予防接種相談所の設置(平成19年) 第三土曜日
(9)足立区医師会平日夜間小児救急外来設置(平成19年)
(10)ヒブワクチンの公費助成化(平成20年4月)
一つは、足立区医師会において保育園部をつくりました。保育園部の設置、これが平成8年です。
次に、感染症サーベイランス委員会を平成9年に、その次に、足立区予防接種向上委員会というのをつくりまして、予防接種の接種率の向上に努めました。
次に、足立区内保育園・幼稚園における小児感染症対策への専門的支援体制の構築に関する研究。これは、保育園における感染症に関するアンケートです保育園における感染症は、インフルエンザ、手足口病も多いのですけれども、一番多いのは驚いたことに水疱瘡だったわけです。水疱瘡の罹患率が12〜14%でした。
このデータをもとにして次につながりました。次のつながりは水痘ワクチンの公費助成です。水痘ワクチンの公費助成が平成17年にできたのですけれども、東京で一番早く公費助成がスタートできました。このデータが非常に参考になったわけであります。
次に、足立区保育園登園基準の作成です。登園基準の作成はその次に、こども未来財団から出ました「保育所における感染症の手引き」、さらには、「保育所における感染症対策ガイドライン」につながってきたわけであります。
7番目に、足立区における登園許可書(意見書)がございますけれども、その提出に関しましては、有料化の問題、お金の問題がございました。これをいろいろな方に相談した上、無料化にもっていきました。それを出してもらいやすいようにするわけです。
そして8番目に、平日は予防接種になかなか行かれないとか、がございましたので、第三土曜日の午後3時〜5時まで足立区医師会館で、予防接種外来及び相談所を設置してスタートいたしました。順調に接種率は増えております。
さらには、足立区は夜間の小児救急が整っていなかったものですから、一次救急外来処置を医師会でスタートいたしました。さらにはヒブワクチンの公費助成につながったわけであります。