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財団法人母子健康協会 第31回シンポジウム 「保育園・幼稚園における感染症と対応」
4.総合討論(8)

佐藤先生方に予防接種のことを詳しくお話しいただきました。では、園ではどのようにしていったらいいのかなと、きっと皆さん考えていらっしゃると思います。私は、集団で乳幼児が保育をされているということでは、予防接種で各種の感染症に、感染しない又は感染しても重症化しにくいということが重要ではないかと考えます。
また、前川先生がお話しになったように、乳幼児期に、いろいろな病気に感染して免疫をつけている段階であるということでは、大きな病気やうつりやすい病気については、少しでもかかりにくい予防接種しておくことが望ましいという思いで保護者の皆さんにお願いしています。

もう一つ、水疱瘡は、「打っても効果がないよね」というふうに言われる場合がありそのときに、話していることですが、2歳の女の子が、ごきょうだい3人ともかかって、最後にかかったわけです。そうしましたら、水疱瘡のあとがわからないぐらいに真っ赤になるほど発疹が出たんです。あまりにもつらそうに、かさぶたになって保育園に来たんですけれども、その年の夏は幅広の帽子をかぶって、「顔にあとが残らないようにしようね」という対応をした事がありました。そのお子さんは予防接種を受けていなかったのです。

予防接種を受けているお子さんは、「何粒出ましたか」というくらいに「かかっちゃった」と言いながらも軽症である事が多いようです。ですから、そんなことをお話しながら説明すると、「あら、そう?」と、少し関心を持ってくださる保護者の方もいらっしゃいます。いろいろな病気について、効果として免疫が高くつくか、つかないかのほかに、集団で保育している場合の利点についてもよく説明する。その中で、「保育園に早く回復して来られますよね」などということを加えると、興味を持っていただけるようで、日々、対応しているところです。

続いて、同じような話で、これは私も経験がありますけれども、予防接種を2種類したお子さんが、大体翌日ぐらいに熱を出す。「1種類だと熱を出しにくいような気がする」というお話と、「三種混合のワクチンの一期の間があいてしまった場合はどうしたらいいのか」ということがありますので、和田先生お願いいたします。

和田「同時に2つ打ったら熱が出やすいのではないか」ということですけれども、それに関しては幾つかデータがございまして、あまり差がないということです。我々が予防接種をやるとき、状況のいいときに予防接種をやることが一番大事なのではないか。風邪気味のときに打つのではなく、やはり調子のいいときに打ってあげる。それが、かかりつけ医の個別接種になった一つの大きな理由ではないかと思います。

データ的には、いま佐藤先生が言われたように、2回同時に打ったほうが熱が出やすいというデータ的なものはないです。ですから、十分その辺を気をつけておけば問題はないのではないかと思います。それに関しては、小児科学会で「同時接種についての考え方」というのがホームページに載っていますので、もしよかったら見ていただきたいと思います。

三種混合は、一期は3週間から8週間の間に打っていいわけです。それが、例えば一期の1回目と2回目があいてしまったとか、そこからずっと飛んでしまったというとき、我々が言うことは何かというと、必ず回数を受けてほしいわけです。ですから、時間があいてしまっても構いません。一期の2回で途中で終わってしまったというときは、1年たっていても、そこでもう1回追加していただいて、できたら追加を1カ月後にもう1回やる。必ず回数をやっていただくということ。

我々も大学にいたときに、そういった開発試験というのをやっていて、抗体を調べてみました。そうすると、回数ももちろん大事で、一番抗体産生のいい月で打っているのですけれども、それがずれた場合には、回数で補って十分だという結果を持っておりますので、それを知っていただいて、忘れていれば、「続けてやってください」ということでよろしいのではないかなと思います。

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