佐藤同じようにインフルエンザのご質問です。
各市区町村で、それぞれインフルエンザの登園基準がおありのようです。和田先生がお話しになられたような、解熱後3日というのではない基準があるようで、何件かご質問があります。
和田同じようにインフルエンザのご質問です。
保育園における感染症対策ガイドラインというのは、お示ししたとおりですけれども、それがまだ徹底されていないのも事実であります。学校保健安全法の「解熱後2日」というのは、昔、決めた基準なのです。その頃には抗インフルエンザ薬というのはなかったわけです。いまのは、一般的にお薬を飲むと翌日には熱が下がることが多いですね。
そうすると、熱が下がって、ウイルスは出ているわけです。ウイルスは子どもさんのほうが長く出るんです。インフルエンザウイルスは、子どもさんの場合は1週間ぐらい出てまいります。例えばタミフルを飲んで、リレンザを吸っていても、やはりウイルスはそれぐらい出ます。量は減っていきますが。
そうすると、いま言った登園基準、どちらにしろ、解熱後3日でもウイルスが出ているのは事実であります。それでも感染力は非常に弱くなっています。うつらないというわけではないけれども、みんなが納得できるところで線を決めているわけです。これを1週間休みなさいといったら、お母さん方の仕事とか、いろいろな問題が出てきますから、それはできない。あるいは、登園基準を決めなくてもいいのではないかという先生も確かにいらっしゃいます。乳幼児では感染歴も少なく白紙の状態ですし、体力がないとか、長時間一緒にいる、そういうことを考えますと、現時点では解熱後3日というところが妥当な線ではないかということです。
ただし、これも皆さんが徹底してもらわなければ困るわけです。やはり、2日で出てくる、翌日に出てくる。熱が下がったら出てくるということでは困る。それは必ず登園許可証を持ってきてもらうというわけですけれども、その徹底をしなければいけない。
診てもらっている先生の中には、熱が下がったらマルをつける、オーケーだよと出してしまうことがあるわけです。その辺も我々は気をつけなくてはいけないということで、さっき少し触れましたけれども、登園許可証はもちろん先生に書いてもらうわけですけれども、我々としては、同じ基準で診ていこうということが徹底されなくてはいけないということで、「保育所における感染症対策ガイドライン」を、診療して下さる先生方にも知ってもらいたいと思います。
そのためには、医師会の中に保育園部というものをつくりたいわけです。全国で保育園部がどのぐらいあるかというと、都道府県でもまだ10%〜14%です。東京都医師会にもそういうものはないです。なかなか徹底されていない。
佐藤先生のお話を聞いて、「なるほど」と思われた方と、「でも」と思われた方がいらっしゃるのではないですか(笑)。
私は、先生のおっしゃっていることを踏まえて、私がしていることなんですけれども、どういうことかといいますと、まず、抗インフルエンザ薬のことです。熱が下がると、もう飲まないという人が結構いるんですね。
そうすると、去年の新型インフルエンザ、A型と診断された方たちで、ぶり返しの熱があったお子さんはいませんでしたか? 熱が下がって登園許可証を持ってきて、1日か2日で「また熱が」とお電話した経験が……、随分頷かれていらっしゃって、私もうれしいですけれども、ありました。ですから、お薬は何を飲んでいますかと確認して、抗インフルエンザ薬であれば、「必ず飲みきってください」ということをお願いしています。
それから、何度の熱がいつから出て、下がったり上がったりしている様子を知り、タミフルは、1日分ではなく、1回か2回飲むだけで、「夕方からもう熱下がりました」といって、次の日に連れてこられたりしたことがあるかもしれません。その辺の部分をよくお聞きになりながら、その子の体調を見て、丁寧に対応していくことが大切ではないかと思っています。
それから、前川先生に同じような質問が何点かあります。「園児ではなく、家族がインフルエンザにかかったとき」、送り迎えのことだと思いますけれども、お母さんがインフルエンザになってしまった。それから、ごきょうだい。小学校のきょうだいの方がいらっしゃると、お兄ちゃん、お姉ちゃんからインフルエンザに先になる。「でも、下の子はまだなっていないから来ています」という場合があります。そういうことでお困りになっている質問があります。
前川兄弟でも、親でも、少なくとも迎えに来るときに、熱があってインフルエンザというのは感染の危険があるので良くないと思います。連れてくるときも問題があるのではない? もし親がインフルなら、子どもを休ませた方がよいのではないか。私は、それ以外、方法がないと思います。どうですか。
和田逆もありまして、お父さんの会社へ行く行かない、それもありますけれども、去年は、子どもさんがかかった場合にはご両親は仕事を休みなさいということを結構徹底しておりました。今年は、まだはっきりしておりませんけれども、理想的には、潜伏期が1日〜3日、新型インフルエンザはやや長いと言われています。5日目ぐらいまでは可能性がある。本によっては7日と書いているところもあります。そうすると、7日間休まなくてはいけないのかということになるわけですけれども、昨年度、新型インフルエンザを経験して、いまのところ、それほど普通の季節型と変わらないのではないかと。
もちろん、基礎疾患のある方、呼吸器疾患のある方は重篤になることはわかっております。さらには、30代、40代は実際問題、今年もお二人、亡くなっています。それは基礎疾患のない方です。
ですから、まだ未知なところはあるわけです。その特徴は何かというと、新型インフルエンザは直接、上気道・下気道に入ってくるわけです。そういった意味でかなり呼吸器に対する負担が来ることは事実ですけれども、それで長く休むかどうかというところは難しいですが、いまのところは去年ほどの規制というのはないんです。ですから、できれば2日間ぐらい休んでもらうというのが理想的ではないかと思っていますけれども。もう一つは、ワクチンを徹底して打つということ。ワクチンを打っていても今年は確かにかかっています。私の印象では2割ぐらいかかっているのではないかと思いますけれども、打たないより打ったほうが軽症化するということは事実であります。そういうことを考えますと、やはりできる予防はしておきて、なおかつ、勧めるということが重要ではないかと思います。
前川和田先生が、ワクチンを打ってもかかるというのは、インフルエンザというのは局所免疫ができないのです。インフルエンザというのはノドで増えますので、熱を出します。ただ、予防接種を打っていると、全身に広がる重症化が防げるということなのです。熱が出て検査すれば、インフルエンザが陽性となるのです。ワクチンが効かないわけではないです。「重症化が防げる」ということだけを知っておいてください。