次に、登園基準についてであります。
登園禁止の措置は、本人の身体の保養のためだけでなく、感染を拡大させないために必要な措置であります。
先ほどお話があったとおり、感染予防対策の基本は、一つは、感染源対策です。感染源対策には、感染源の隔離、消毒・滅菌、そして、感染経路の対策です。感染経路をしっかり理解することも重要です。それは感染経路の遮断につながるわけです。
3番目に、感染性対策、これは予防接種です。宿主の抵抗力をつける、つまり予防するわけであります。この3つが感染予防策の基本でございます。
ガイドラインにおける登園のための2大前提として、まず1番としまして、感染力が低下しで、登園しても集団発生などにつながらないこと。2番目に、子どもの状態が、毎日の集団生活に支障がないところまで回復していることが挙げられると思います。
感染性胃腸炎は、いつ登園してきていいのかという質問をよく受けます。これを見てみますと、普通の食事がある程度できるようになってきていること。ウイルスが長く出ていることがあるわけですね。そんなことで、どこを基準にするか、なかなか難しいと思います。ある程度食事がちゃんと食べられる、保育園での生活ができる、というところが一つの目安になると思います。
登園基準は、登園可能となった小児から他の小児への感染を100%防ぐための基準ではなく、感染させる危険がかなり少ないと判断される場合で、園スタッフ、家族が納得できると思われる基準だと思います。
感染症の種類によっては、感染力の強い時期や潜伏期間などが異なり、感染症の特性や患者それぞれの状態ごとに、出席停止期間を決める必要があると思います。
登園・登校の許可については、感染症の種別によっては医師の診断に基づいた登園許可証の提出を徹底させるべきであります。足立区では登園基準を徹底させるために、区医師会あるいは自治体等が中心となって、登園許可証の統一化と書類作成の無料化を図りました。登園基準を徹底する一方で、それに伴う保護者の休職による経済的・社会的問題等についても配慮が必要だと思うわけであります。
次に、保育園における感染症の登園基準の一覧表を載せてあります。Aは「医師が記入した意見書が必要な感染症」。麻疹、インフルエンザ、風疹、水疱瘡、流行性耳下腺炎、結核、咽頭結膜熱、流行性角結膜炎、百日咳、腸管出血性大腸菌感染症(O‐157)があります。
この中で特に注目していただきたいところは、インフルエンザであります。インフルエンザは、学校保健安全法では解熱後2日となっておりますけれども、保育園は1日長くいたしました。「症状が始まった日から5日以内に症状がなくなった場合は、症状が始まった日から7日目まで、または解熱した後、3日を経過するまで」というふうになりました。ですから、1日延びたということでありまして、この辺のところを徹底していただきたいと思います。その際には登園許可証が必要になってくるわけです。これらの疾患は必ず登園許可証をいただくことが重要になってきます。
次に、Bに移ります。「医師の診断を受け、保護者が記入する登園届が必要な感染症」です。これは、溶連菌感染症、マイコプラズマ肺炎、手足口病、伝染性紅斑、等。
伝染性紅斑というのは、発疹が出たときには感染力はないと言われています。
感染性胃腸炎に関しては、なかなか難しいですね。ケース・バイ・ケースということが、いい言葉かどうかわかりませんけれども、なかなか難しいと思います。登園の目安は、嘔吐、下痢などの症状が治まり、普段の食事がとれること。
それから、ヘルパンギーナも手足口病も、症状がなくなってもウイルスが長く出ているという特徴があります。特に糞口感染、便からの感染ということが結構あります。接触感染も起こります。4週間近く、本当はウイルスが出ているんだということを考えますと、休まなくてはいけないかどうか。これに関しましても、普段の食事がとれて全身状態が良好であれば「休まなくてもいい」ということになっております。
それから、いま流行しているRSウイルスです。RSウイルスに関しても診断がなかなかつかない。診断をつけるとなれば、大学病院とか入院設備のあるところで調べなくてはいけないという現状がございます。RSウイルスに関しては、いま、開業医でも保険で診断をつけられるシステムを検討中です。
それから、ちょっと徹底しておりませんけれども、帯状疱疹も水痘と同じ様に扱うことになっています。帯状疱疹の発疹の中にはウイルスがあるわけです。感染力が非常に弱い、水疱瘡に比べて弱いのですけれども、一応、水痘同様に考えようということになりました。