《子どもとのふれあいを大切に》—スマホに子守をさせないで—
日本大学医学部小児科客員教授 岡田 知雄先生
はじめに
2008年以降、わが国でもスマートフォン(スマホと略)やタブレット端末が急速に普及し、子どもだけで、何時でも何処でも無制限にインターネットに接続できるようになりました。ICT(Information and Community Technology)は社会生活全般の利便性を高め、教育や医療において革新的なツールとして有効活用されています。その一方で、ICTの普及は子ども社会においても、遊びや人間関係、生活習慣の点で大きな変化をもたらしました。子どもにおけるICTの弊害として、親子の絆からはじまる人間と人間との絆の形成に影響を与え、実社会での体験の機会を奪って、健やかな成長発達や社会性の形成を妨げることは極めて大きな問題です。さらには、子どものネット依存も深刻化しており、ICTの適正利用は子どもの健やかな成長発達にとって、解決すべき重要課題となっています。
本稿では特に、乳幼児期における、スマホのようなICT(ニューメディアとも呼ばれる)ばかりでなく、テレビ・ビデオなどの旧来のメディアを含めた、メディアの有害性の最近における科学的な証明、エビデンスを紹介し、健やかな成長のための保護者や保育関係者が注意しなければいけない事柄をまとめました。
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