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設立80周年記念 第35回母子健康協会シンポジウム(東京会場)
「保育における言葉とコミュニケーション」子ども達と保護者と共に育ちあいつながりあう保育

保育園の親子コミュニケーション(4)

社会福祉法人杉の子会エイビイシイ保育園園長 片野 清美先生

保護者は、今、とっても変わっています。手のかかる親がとっても多い。みんなそうですよね。うちも、去年までは横綱級の保護者が1人いました。本当にみんなを巻き込むんですよ、4、5人の親を。飲みに行っては気の弱い職員をいじめまくる。そういう親がいました。でも、卒園したから大丈夫です。

その保護者は、行政に、「片野先生が私の家庭を壊した」とか、大きな顔で言うんですよ。私、何を壊したかなと思いますけどね。そうしたら役所は、「わかった。片野先生に指導しておくよ」とか言うんです。でも、それはタテマエで、ありがたいのは、うちの保育園の味方をしてくれるから、全然問題はないのです。

でも、その保護者はかわいそうだなと思います。児童相談所が来たり、支援センターが来たりして、何回も何回もそういうケースを生むんです。私たちは、ちゃんと座って話を聴く態勢でいるのに、横柄な態度で立っているんですよね。立って腰に手を当てて、フンッというような顔をしているんですよ。ですから、私、テーブルをたたいて、「あんたのことで来ているんですよ、皆さん。少しは感謝しなさい。謝りなさい」と言って、初めて怒り飛ばしました。それでも言うこと聞かない。何回も何回も言うこと聞かないですよ。とうとうだめでしたね。どれだけ先生たちが親身になってやっても、私が親身になっても、とうとう自分の子どもは親元にやって、(離婚している親ですから)自分は好きな男をつくって新宿で今でも暮らしています。私に会っても挨拶一つしない。別にいいけどと思っていますけど、そういう保護者がいました。

どこの園でも、そういうどうしようもない親がいますよね。今、うちは余りいないな。とっても楽しくしています。でも、親とのかかわりはいろいろありますけど、全部受容しています。そうか、そうか、大変だね、うん、わかったよ、わかったよと。「でもね、子どもを中心に考えて生活しないといけないよね」とか、「子どもに手上げないように」とか、「大人は我慢できるよね」とか言いながら、言い聞かせています。

うちは、サービス推進費の部分で第三者評価が、24時間で頑張っているけど都内で3番目ぐらいに入っています。「親子との関係がとてもいい」と書かれていました。その中で、園長先生はやさしすぎる、もうちょっと怒れと、そういうことも書いていますし、本当にありがたいことです。

だから、本当に親のことを親身に考える。親の仕事に貴賤はありません。サービス業であろうが、うちは国家公務員も医者や看護師もたくさんいますが、みんな平等に扱います。親のことは本当に大事に、大事に扱っています。

何かあったら、まず担任がヒアリングをします。それでだめだったら、私がお話しします。必ず、担任と私とでペアになって、何回も何回も話し合いをします。それでも納得できなかったら、私は最終的に保護者にお手紙を書いています。こうだからね、と。だから、私の携帯電話は、すべての保護者が知っています。なぜか教えている。そうしたらよくかかってきます。深夜はお断りということで言っています。

保護者を大事にするということは、保育園選びでも、口コミでどんどん入ってきます。本当にありがたいことだなと思っています。私は、保護者を自分のことのように考えていってあげたいなと思っているところです。

うちの保育園は、昔、無認可のときに、テレビ放映があったりとか、新聞・雑誌で、歌舞伎町に近いということで評判なんですけれども、でも違うんですよ。どうぞおいでください。大久保通りからちょっと横に入った住宅地で、静かなところで、公園もとても多いんです。皆さん、24時間といったら、鼻水たらして汚い格好をして、そういう子どもたちがいっぱいかなと思って想像して来るんです。全然違います。ちゃんと子どもの成長、発達を保障して、職員が頑張ってやっている保育園です。食べることもきちんとやっていますし、とても子どもの心が発達していると思いますね。

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