《子どもとのふれあいを大切に》—スマホに子守をさせないで—
日本大学医学部小児科客員教授 岡田 知雄先生
インターネットゲーム障害の発症機序 -脳の画像解析研究からの成果-
ではどのようにして、インターネットゲーム障害としての脳の機能的、器質的な変化がもたらされるのか、この解明には近年における脳の画像解析の進歩が大きく貢献したのである。拡散テンソール画像(DTI)という脳の画像解析の方法は、核磁気共鳴画像(MRI)を応用して、神経線維の走行を調べることのできる検査法で、それまで描出が困難であった大脳白質などの神経線維の束を、まるで一本一本の糸の走行を追うように映像化することができる。また、voxel-based morphometry(VBM)という検査法は、頭部MRIを画素単位で平均的な形態と比較することにより、脳の局部の大きさや領域を、例えば海馬における萎縮の程度を、客観的に評価できる。陽電子放射断層撮影(PET)装置を用いた検査法は、微量の放射性物質を含む薬剤を注射し、臓器の血流や代謝を測定するもので、例えば、アンフェタミン(覚醒剤)を静注し、脳内の線条体から放出されるドーパミンの放出活性を調べることもできる。このような脳の画像解析により、メディア漬けになった患者の脳病変が、覚醒剤や麻薬中毒者と同類の障害であることが明確にされ、その機序も推定されたのである。先述した著者の岡田氏も引用して述べているように、脳の局所機能とその障害を表3にまとめた。
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