設立80周年記念 第35回母子健康協会シンポジウム(東京会場)
「保育における言葉とコミュニケーション」子ども達と保護者と共に育ちあいつながりあう保育
保育園の親子コミュニケーション(6)
社会福祉法人杉の子会エイビイシイ保育園園長 片野 清美先生
うちは24時間の保育園だから、保育士は夜勤があるんですよ。1週間に1回で、多いときは月に5回あります。でも、結婚して、産休取って、育児休業取って、4月1日には帰ってきます。とてもうれしいことです。夜のシフトは1カ月先、2カ月先に決められていますから、泊まりのときにはおじいちゃん、おばあちゃんにお手伝いしてもらう、ご主人に協力してもらう、そういうことを自分たちで十分考えていると思います。だから、ありがたいことです。
どこの園でもそうですが、働く人には働きやすい環境を。それと、一生懸命頑張って働いてもらっているから、みんな平等にかわいがりたいですよね。かわいがって育てたい。若い先生は、結婚して子どもを産んだことないから、子どもを持っている保護者に対してはきつい言葉を言うと思いますよ。でも、結婚して子育てしている先生は、やさしい。一歩引いてやさしい。「お母さん、気をつけてね」とか、「あんまり無理しないでね」というのが、うちのふくろう組さんで、夜間のお迎え、深夜1時、2時、3時に来るお母さんたちにかけている保育者の言葉だと思います。お母さんは、「ありがとう」とか、「またあした」で帰るんですね。そういう言葉がけってうれしいですよね。
そして3年目の先生たちに、「私の生きがい」「保育の達成感」というのを小論文で書かせました。若い3年目の先生なんかは、「親からもらうありがとうの言葉にすごく生きがいを感じる」とか、「だから夜間保育園って好きだ」とか、「頑張りたい」という言葉がとっても出てきます。
日々の職員とのコミュニケーションは、私は上下関係なく普段は標準語を使っているつもりですけれど、九州弁で「なんばしよっと」(何をしているの)と声をかけたり、「今度遊び行こうね」とか、社交辞令も言ったりします。また、うちの保育園では、1年に2回、運動会の後、クリスマス会の終わりとか、遊ぶのも仕事と一緒ですから、全員参加で遊びに行きます。若い人のエネルギーはすごい。すばらしい。ついていけない、演歌でも歌ったら、それは歌じゃないと言われるから。それだけのパワーを仕事に向けてくれたらいいんだけど、「ああ〜」と思ったりもします。
でも、仕事のことは「ホウレンソウ(報・連・相)」で、きちっと下から上に上げていきますから、私に直接というのは余りないのですけど、把握は全部しています。個人的なことも何でも言ってきます。だから、結婚する相手がいたら必ず見せてくれます。「先生、この日に連れてくるね」といって、ほとんどの人が彼氏を連れてきます。そして紹介してくれて、相手の人にも、「頼むよ、彼女を」と言うと、「わかりました」と。そういうことでコミュニケーションをたくさんとっています。
職員が55人もいたら、いろいろな性格の先生がいます。おとなしくても、コツコツ真面目に仕事をして、達成感を味わう先生。この先生はちょっと気が強いけれども、保護者対応はすごいなとか、この先生は走るのが速いなとか、運動会が好きな人だなとか、いろいろなタイプの先生がいますけれども、うちで働いてくれる先生はやっぱり宝物だし、一生懸命スキルアップして伸ばしてあげたいなと思って、コミュニケーションをよくとります。
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