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設立80周年記念 第35回母子健康協会シンポジウム(大阪会場)
「保育に役立つ健康知識」子ども達の健やかな発育・成長のために

季節と感染症 -幼稚園・保育園で流行する病気とその対策-(1)

大阪府立呼吸器・アレルギーセンター小児科部長 亀田 誠先生

亀田皆さん、こんにちは。大阪府立呼吸器・アレルギーセンター小児科の亀田と申します。私も普段はアレルギーのほうを専門にやっておりまして、必ずしも感染症の専門職ということではないのですけれども、本日は、「季節と感染症」ということで、特に幼児さんで流行する病気を中心にお話をさせていただきたいと思います。

ここへ来る前に、実は喫茶店で食事をとったのですが、そこは分煙されていて、奥は禁煙の席でしたが、一部喫煙の席があって、そのブースを見てみますと、男性の方と女性の方、ほぼ同数その中に入っておられました。しかも、女性の方は若い方が多い。若い方の喫煙というのは、我々小児科医からすると、ぜひともこれを減らしたいと思っているところですけれども、女性の喫煙率は10%を超えていてかつ横ばいであるというのが現状です。ぜひ、皆様におかれましても、皆さん自身はもちろんのこと、お母様方にも禁煙の大切さを伝えていただければと思います。

今日は、皆様のお手元にありますレジメに沿ってお話をさせていただきます。その内容をかい摘んでお話するような形になりますので、ほとんどの内容は後ほど復習ができるようになっております。ですから、「どこに書いてあるのか?」と追わずに、前のほうを見ていただければよろしいかと思います。

皆さん、お子さんを預かっておりますと、なぜ子供はこんなに風邪ばかり引くんだろう、胃腸炎ばかりするんだろう、ということを感じられることもあろうかと思いますが、それは、我々が生活する環境の中に、無数の細菌やウイルスが存在するということと関係しております。そして、ヒトというのは病原に対して免疫という機能を持っているわけですけれども、免疫というのは、感染を繰り返すことによって初めてその力を発現することができるとご理解をいただきたいと思います。感染症を繰り返すことで、本来の免疫の力を発揮することができるようになるわけです。

これを人為的にやろうというのが予防接種ということですが、皆さんご承知のように、たかだか十数種類しか通常の中にはございません。もちろん、アフリカ、南アメリカというところに渡航される場合、現地ではやっている感染症に対するワクチンを打つことができる場合がありますので、プラスアルファということがありますが、例えば50種ものバイ菌に対してワクチンがあるかというと、そういうわけではないということがあります。また、一たん感染にかかった場合に、それに対してのお薬、これを使えばこの病気は治るというお薬があるかというと、実は、インフルエンザや水疱瘡(みずぼうそう)など、ごく一部の感染症に対してしかないということなのです。

そういうことで、実際には感染症、病気自体がどのように治っていくかということを、いかにサポートして重症化させないかということが重要になってくるということを、一つ覚えておいていただきたいと思います。

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