ご挨拶(2)
今は、少し変わってきていると思います。予防接種が、まず1つは乳児のときからしっかりやって、予防できる病気はともかく予防しよう。そして、今日もお話しいただきますけれども、アレルギー。これが、やはり非常に重要になってきました。3番目ぐらいに、関心度としては、私は栄養の問題かなと思っています。
ただ、それは単純ではないというお話をこの後しますけれども、それ以外に発達障害をはじめとした心の問題や、皆さんの周りに残念ながらあるかもしれませんけれども、虐待の問題、それから、事故をどうやって防ぐか。死亡の率は非常に下がったんですけれども、そういったことに対応しなければいけない。すごく時代が変わってきたかなと思います。
どういうふうに変わってきたか。以前は例えば健康優良児のようなしっかりと発育したお子さんをということだったわけですけれども、その課題は正直、克服できたのかなと思います。
今は、多様性を大事にする時代になってきています。要するに、1人1人のお子さんのニーズが非常に多様になってきている。それに丁寧に対応しようというのが、私ども小児保健の立場での非常に重要な課題だなと思っています。
それは、例えば体の面で言うと、アレルギーというのが、まさにそうですよね。お子さんが自分の体が食べ物に対して合わないという、非常に多様なニーズがある。合わない食品の種類が1人1人違ったりするわけで、それに丁寧に対応していかないといけない時代になってきているんだと思います。
それから、文化、環境で言うと、家庭環境もいろいろな形の家族がふえてきました。昔ですと、やはり大家族、ある程度大きさのある家族が多かったわけですけれども、いろいろな形の家庭がある。それで、お母さんがお子さんを育てているというシングルマザーの家庭もふえてきているわけです。
あるいは、育児観も、どういうふうに子育てを考えるかというのも、いろいろな考え方の方がいらっしゃる。それに対して、正解がこれだからという形で私どもが上から目線で言うというよりも、今はお母さんの考え方、そのご家庭の考え方を尊重しながら一緒に考えていきましょうというのが小児保健のスタイルになってきています。そういう意味でも、すごく多様性を大事にする。それは、現代の社会全体の1つのキーワードではないかなと思っています。
以前ですと、お母さんが賢ければ賢くなるんだみたいな、お母さんありきの育児感だったんですけれども、今は幼保の無償化みたいなことも社会全体として起こってきて、子育てに対する社会の認識がすごく変わってきています。
その背景には、もちろん女性の社会参加がありますし、国内の労働力もほんとうに女性の方が活躍してもらわないと、とてもやっていけないなど、いろいろな理由があります。実際、私の同僚の先生も女性の先生が大勢いて、女性の先生なしには、とても小児医療もやっていけません。
これは、ゼロ歳から働いているお母さんたち、もう40%になっています。
おととしぐらいから、厚生労働省も一生懸命頑張って、保育が必要なお子さんたちがこのようにうなぎ登りにぐっと率が上がってきていますので、保育園を拡充しようとしていただいています。先ほどお話ししたように、私の同僚に女性の先生がいっぱいいらっしゃるんですけれども、そういう先生たち、最近は結構預けやすくなっていて、以前に比べて少しよくなったかなと思っています。