2.食物アレルギーの考え方…制限食をやめましょう…(12)
皆さん、でも、少し疑問に思いませんか。でも、「6カ月で卵アレルギー?まだ、食べていないんですけど」。食べていないのに、どうやって皮膚から入るんでしょう。僕にとって疑問でしたが、成育医療センターの先生が研究して答えを出してくださいました。アトピーのある方の家の寝具、シーツなどを持ってきて、卵がどのくらい付着しているかというのを調べたんですね。するとダニ抗原よりも多く付着していることがわかりました。実は、卵や牛乳など料理するだけで、かなり空中に舞います。環境中に飛んでいる食べ物の分子が付着するのであろうことがわかったんですね。牛乳をコップにざーっと入れる様子を特殊なカメラで撮ると、牛乳が煙のように舞い上がっているのが見えます。注ぐだけで空中に飛んでいるんですよ。そういったものが皮膚から侵入してくるのかもしれませんね。
これを言うと、「先生、そうしたら、どれだけ掃除しなきゃいけないんですか」と外来で聞かれる方が少なくありません。もちろん、掃除はしたほうがいいですけれども、やり過ぎなくていいです。僕は学生に聞くと、ひとり暮らしの男子だと、「掃除機かけたことないです」とか言う人がいますけれども、みんな元気にしていますよ。いいかどうかは別としてね。では、どうしたらいいか。アレルギーの原因が入ってくる皮膚をしっかり強いものにすればいいわけです。侵入経路をシャットアウトすればいい。というわけで、アトピー性皮膚炎や湿疹はしっかり治すべきです。
小児アレルギー学会からこういうものが出ました。でも、賛否両論ありました。ただ、これをきっかけにいろいろな議論が出てきて、僕はよかったと思っております。アトピー性皮膚炎のある方に、生後6カ月から卵白を加熱して食べさせると、卵のアレルギーを予防できる可能性がある。ただ、複数の研究でこれが証明されておりませんので、現時点ですぐ飛びつく方法ではないだろうと思います。ですが、非常にこれは示唆的な提言で、先ほどから話が出てきました、卵は五、六カ月で食べていいのではないか。卵黄ではなくて、全卵でもいいのではないかという話にもつながっていくわけですね。
今日はこの話は詳しくしませんけれども、禁煙は絶対やっていただきたい。また、余りきれい過ぎや洗い過ぎもよくないのではないか、清潔過ぎる環境はアレルギーによくないのではないかという話もあります。繰り返しですが、妊娠中や授乳中の食物除去も必要ありません。スキンケアをしっかりしましょう。最後に、離乳食は原則おくらせない。この子、すごくいっぱい食べていますね。こんなふうに楽しく食べていただけるのがいいかと思います。適切な離乳食でアレルギー予防という結論です。