2.食物アレルギーの考え方…制限食をやめましょう…(2)

まず、食物アレルギーとは何ぞやという話から始めます。皆さんご存じだと思いますが、何か食物を食べたときに免疫の働きによって症状が出ることです。アレルギーではいろんな症状がでます。

細菌の毒素であるとか、キノコなどの毒による症状はアレルギーではありません。それから、薬理活性物質、たとえばヒスタミンなどの物質でアレルギーのような症状が出ることがあります。あとは乳糖不耐症など、アレルギーと違うんだけれども、おなかが痛い、下痢するなどアレルギーに似たような症状が出るものもありますので、気をつけなければいけません。こういうものは食物アレルギーではありません。

このスライドはこども園で発生したサバの塩焼きによるヒスタミン中毒のニュースを示したものです。実は、サバを食べた後のじんま疹の8割か9割はアレルギーではなく、このヒスタミン中毒です。最近は話題になっておりまして、魚市場なんかではヒスタミン中毒に気をつけましょうなんてポスターが張ってあります。室温で1時間、2時間と置いておきますと菌が繁殖して、ヒスチジンという物質がヒスタミンに変わって、アレルギーのような症状を出してしまうということなのです。

青魚と我々は言っていますけれども、たんぱく質のレベルでは正確な分類ではありません。必ずしも青魚にアレルギーが多いというわけではないんですね。実は、魚は色や形などで分類されています。

アレルギーの原因となるアレルゲンはマスやコイが一番多いです。ウナギも結構多いですね。タラはどちらかというと多いほうです。それに比べると、サケやサバは少ないと言われています。最も少ないのがマグロです。このようにいろいろな誤解があるため、アレルギーと判断するのが難しい場合があります。

今日は特に即時型症状と言われる2時間以内に症状が出るアレルギーを中心に話をします。じんま疹が出たり、息が苦しくなったり、おなかが痛くなったり、吐いたり、下痢したりといった症状が、食べた後2時間以内に出ます。

2時間以内が原則なんですけれども、中には5~6時間たってから出る場合もありますし、1回症状が出て、おさまったんだけれども、また数時間してから出るということもあります。

原因食物ですが、卵、牛乳、小麦と多いものはもうご存じだと思いますが、最近少し変化があります。最近、ナッツや魚卵が増えています。お菓子や料理の中にナッツが入っていることなど多いですよね。あと、低年齢でのイクラアレルギーが増えています。

僕は、子供のころ、回転ずしに連れていってもらうと、あの皿は食べちゃいけないなんて言われました。今から思うと、高いからということだったんでしょうね。以前は生ものであるイクラを1歳の子に食べさせるということは考えも及ばなかったわけですが、最近は赤くてかわいいとかいって食べさせてしまう。意外におじいちゃん、おばあちゃんなども食べさせてしまいます。