3.総合討論(1)

座長の岡先生、よろしくお願いいたします。

それでは、質問にお答えするというほうに移らせていただきます。残りが大体35分ぐらいで、いただいている質問は予想どおり、やはりアレルギー関係が多い。各論に当たるアレルギーの部分が多いですので、まず、先に楠田先生から離乳あるいは授乳の全般的なお話に関するご質問に10分ぐらいでお答えいただいて、その後、小林先生にお願いしたいと思います。

それでは、楠田先生、よろしくお願いします。

楠田

それでは、離乳食に関するところを、私はアレルギーの話も入っていますので、アレルギーのほうは後半にお任せするとして、離乳食のところを時間の許す限りお答えさせていただきます。

事前にいただいたご質問からお答えしたいと思うんですけれども、ご質問は、保育園で離乳食をなかなか食べないということなんですけれども、なかなかこれは難しい問題で、こうすればというのは多分ないと思いますし、子供ですから、変な話、自分で制限することはございませんので、ゆっくり見ていただくしかないかなというところだと思います。

それから、離乳食が完了したときに、母乳なりミルクをどう与えるかという話なんですけれども、これはガイドの中でもお話ししたんですが、これはお子さん本人の欲求にお任せして、離乳食が終わったから、もう要らない。特に母乳の場合は絶対要らないということではなくて、本人が飲むならということで、人工乳の場合は、栄養学的には特別意味がありませんので、特別飲ませる必要はない。ですが、いわゆる本人の満足感が優先されるかなということになると思います。

それから、7から8カ月で鉄欠乏を起こしやすいということで、どのような離乳食かということなんですけれども、これも多少講演の中で言及したんですが、母乳だとほんとうに鉄含有量が少ないので、なかなか離乳食が進まない間は、鉄欠乏になる確率が高いです。牛乳はもっとひどいんですけれども、母乳ですと、やはりリスクがありますので、1つの方法は、フォローアップミルクの中に鉄分が強化してありますので、それを食材として離乳食の中に入れて使っていただくといいかなということ。管理栄養士の方も、食材としてフォローアップミルクを使った献立をいろいろ出しておられますので、そこが1つの工夫かなと思います。

それから、離乳食完了後も冷凍母乳の希望があった場合はということなんですけれども、これは、栄養学的にも意味はないし、多分、本人もこれを飲みたいという意思はないと思います。わざわざ別のことを皆さん方がやらないといけないということはありませんので、お断りしていいかなと思います。

それから、本日いただいた質問の中にも同じような内容があったので、まとめて回答させていただこうと思います。

もともと早産児あるいは低出生体重児の子供たちの離乳食に関しては、先ほど私は早く生まれたら、その分だけ引いて、予定日から数えて6カ月で離乳食を始めるのがいいだろうという話をしたんですけれども、それでももっとおくれるんですね。ですから、本人の欲求、あるいはほかの発達。要するに、発達していなければ、離乳食を安定して食べさせることも難しいですから、そういうものを待っていただいて、予定日からとはいえ、もう少しおくれますよというのを入れていただいていいのかなと思います。特別、正期産の子供と同じペースでやらなければいけない必要はないので、待っていただく。

ここは、全然栄養とは関係ないんですけれども、早産児で予定日から離乳食等を換算しますけれども、予防接種は全て、いくら早く生まれても、生まれた日からの換算ですので、そこは分けて考えていただいて、ともかく栄養に関しては予定日から考えていただければいいと思います。

いただいた質問の中で、早産児で、その辺がよくわからないんですけれども、歯の萌出もかなりおくれているという方がいらっしゃったので、それはまたほかの原因があるかもしれませんので、そういうお子さんに関しては、とりあえず一度、医師の診察を受けていただいたほうが安全かなと思います。

それから、今回いただいた中で、牛乳を飲まないというのがお二人からありました。あるいは逆に、家族から牛乳を飲ませたくないという要望があったということなんですけれども、牛乳を絶対飲まないといけないというわけでもないし、逆に牛乳が悪いというのも全くございません。アレルギーとは関係なしですから、急に対応しないといけないというわけではないと思います。

それから、このご質問を読んで、私もよく理解できなかったんですけれども、そのまま読ませていただくと、「『白い食べ物は体を冷やすから食べないように(牛乳・豆腐など)』と主張している医師がいるのですが、これに関してはどのようにお考えでしょうか」ということですけれども、いや、全く同意するところはないと思いますので、これは論外な主張だと思います。

それから、離乳食の完了を長引かせるメリット、デメリットということなんですけれども、離乳食に関しては、栄養学的にはある程度進んでいって完了しないといけないので、それを早くする必要は全くないですけれども、遅くなると必要な栄養素に対して不足する可能性があるので、そういうデメリットがある。ただ、離乳食を完了したからといって、母乳をすぐやめないといけないとか、そういうことに関しては、特に我々も主張しておりません。

それから、離乳食開始時期、私も言いましたけれども、ともかく単に5カ月になったから、6カ月になったからというのではなくて、本人の意思と、ほかの発達等を見ていただいて進めて、アレルギーに関しても、早くやったから、遅くやったからということはございませんので、離乳食に関しては本人の発達を見ながらというのが一番重要かなと思います。

それから、保護者の方から体重をふやしたいので、牛乳より粉ミルクを与えたほうがいいのではないかと聞かれたということなんですけれども、当然、離乳食に入っていれば、栄養の主体は少しずつ離乳食のほうに行くわけですから、粉ミルクというのは、最初の粉ミルクだけを飲む、要するに粉乳だけを飲む時期の栄養素としての内容でつくられたものです。離乳食が進んでからの粉ミルクというのは、栄養学的には特別意味はございませんので、これを飲ませないといけないという家族の方がいらっしゃっても、別にそれは科学的に余り必要ないとお答えしていただければいいと思います。

一応、私のほうにいただいた内容をある程度まとめお答えしたんですけれども、もし何か答えたことが的を突いていなければ、言っていただければというところです。

ありがとうございます。

いろいろご質問はあるとは思いますけれども、全体的な考えということで、先生にご説明いただいたかなと思います。