1.新しい授乳・離乳食の考え方…「授乳・離乳の支援ガイド」2019年改訂版から…(5)
そうすると、最初にお話ししたように、そういう妊娠中の影響というのは、生まれた子供、新生児だけではなくて、その子供たちが成長しても影響を及ぼしているかもしれないので、やはりこれは日本としても、国家としても重大な課題ですので、もし妊婦さんの食事ということでご相談を受けたら、日本の体重増加7㎏というのは、決して目標ではなくて、7以上でほんとうは10ぐらいがいいんですよという状況にあるということを知っていただけたらと思います。
ここからが乳幼児の話に移ります。乳幼児の栄養、どんな課題があるか。
まず、授乳のときにどんな課題があるか。もちろん母乳栄養は推進されているので、母乳栄養はいいんですけれども、後でお見せしますけれども、母乳栄養ができない方もいらっしゃるんですね。だから、栄養方法というのは、非常にお母さんにとっては不安だしストレスです。特に私も言ったように、栄養が将来に影響を与えるということを逆に言ってしまうと、では、母乳栄養でなければ子供が健康を保てないのかという不安も出てくるので、それに対して、やはり我々としては何か明確な回答をしないといけない。
それから、もうこれは最近の特徴ですけれども、インターネットでいくらでも情報は手に入るんですね。そうすると、インターネットというのは非常に便利で、いろいろな情報がすぐ入りますけれども、その内容が正しいかどうかは誰も検証できないですね。ですから、やはり正しい情報をお母さんに知ってもらうためには、こういうガイドをつくって、そのガイドの中に正しい情報を入れて、それを正確にお母さんに伝えていただこうということが必要になってきます。
それから、こういう課題があるので、我々としてはお母さんの不安をとれるような科学的なものを提供しないといけない。
それから、離乳期はどうかというと、お母さんの栄養に関する不安というのは、もちろん最初の授乳の始まりのときが非常に強いんだけれども、次にお母さんの不安が強くなるのは、離乳食が始まるときなんですね。だから、ここもお母さんの不安がピークとなるところなので、我々はそれに対して科学的に説明しないといけない。
特に離乳食をいつ始めるか。それから、内容はどうかということに対して、非常に関心が高いんですね。特に離乳食がアレルギーや将来の肥満につながる可能性があるという情報がありますので、その辺に対して、かなり不安が強いので、我々としては、離乳食というのはアレルギーや肥満ということではなくて、本人が必要となる時期に離乳食を開始するのがいいんですよというのを科学的に説明する必要があるだろうと考えました。
したがって、こちらもいろいろな科学的な根拠を集めてガイドをつくる必要があるということで、我々としては合意が得られたということになります。