1.新しい授乳・離乳食の考え方…「授乳・離乳の支援ガイド」2019年改訂版から…(3)

今のは胎児、あるいは新生児期の話をしましたけれども、乳幼児期の栄養も、やはりその子の一生を左右するんですね。その例を示します。これは、BMIの動きをずっとあらわしているんですけれども、大体1歳半から2歳ぐらいになってくると一定になって、そこからまた上がっていくのがBMI。BMIというのは、数字が大きくなればなるほど、いわゆる肥満体質、逆に数字が小さくなればなるほど、痩せた体格をあらわすんですけれども、このBMIの動きを肥満になった子供でどうなるかというのを見たのが次のスライドです。

乳幼児の栄養の影響 BMIの推移

これを見ていただくと、1歳半から2歳ぐらいにBMIが大きくなる、要するに体重がふえた子供は、その後、どんどん肥満になっていくんですね。ですから、肥満になっている子供も、いつごろの栄養が重要かというと、やはり1歳、1歳半ぐらいの栄養が、その子の肥満の運命を決めているかもしれないということで、胎児、乳児、幼児という、ともかく人が成長するときの栄養というのは、実はその子供の将来の健康を決めているという、大変重要な要素だということで、まず最初に、栄養の重要性を説明しました。先ほど、岡先生も重要な課題と言われましたけれども、ほんとうに栄養というのは健康にとって重要な課題ということになります。

最初は、妊婦さんの栄養の重要性、それから、乳幼児の栄養の重要性をお話ししましたけれども、そのために、実は国では妊婦さんの食生活指針と今回改定されたガイドがあるんですね。こういうガイド、指針をつくっているのはなぜかというと、重要だからなんですね。でも、どちらも10年以上前につくられたので、やはり内容が少し古くなっているということもあるので、今回改定をやらなければいけないという作業が行われました。

妊産婦と乳幼児の栄養の重要性
妊産婦の栄養の課題
妊産婦のための食生活指針

一応、厚生労働省で、そういう改定のための研究班が組織されまして、そこで小児科の先生、産科の先生、それから、管理栄養士の方、助産師など、多くの方に加わっていただいて、どこを改定すべきかというのを検討しました。

改定するに当たって、現行のもので何が問題かというのを最初に出さないとだめなので、そういう課題をまず抽出しました。

妊婦さんに関しては、妊娠中にどのぐらい体重がふえるかというのは、体格の基準によって決まっているんですが、その問題。それから、今日の大きなテーマであるアレルギー疾患の予防を妊娠中の食事制限でできるという話もあったので、その辺を改定すべきだろうということで、いろいろ検討を行いました。