妊娠中の喫煙は、様々な妊娠合併症(子宮外妊娠、前置胎盤、胎盤早期剥離、自然流産、早期破水、周産期死亡など)の原因となり、胎児や出生後の子どもに様々な健康被害を及ぼすことが明らかになっています。
妊婦が喫煙すると、ニコチンの作用で胎盤、臍帯や胎児の血管が収縮して、胎児への酸素や栄養の供給が減少します。また、高濃度の一酸化炭素が胎児に流入するために、胎児はさらに酸素欠乏状態におちいります。そのため胎児の成長が阻害されて、出生体重が平均200g前後減少します。
妊娠中の喫煙は、子どもの出生後の身体発育にも悪影響を及ぼし、幼児期あるいは思春期前の時期に身長の伸びが0.7〜2.0cm程度減少すると報告されています。
また、胎児期の低栄養状態は、出生後の肥満、高血糖、高脂血症、高血圧などを招くという、いわゆる「成人病胎児期発症説」が注目されていますが、妊婦が喫煙していた場合、その子どもが10歳になった時点で肥満になる率が約3倍高くなる、という調査結果がわが国でも報告されています。