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財団法人母子健康協会 第30回シンポジウム 「保育における食物アレルギーの考え方と対応」
4.総合討論(1)

前川それでは、総合討論に移らせていただきます。皆様から、事前に50件以上の質問をいただきました。お二人の先生方に仕分けをして、これから、それについてお答えをいただきます。それでは、海老澤先生、お願いします。

海老澤まず、アトピー性皮膚炎関連の質問をまとめてお話しします。

「アトピー性皮膚炎の症状が見られる場合に、皮膚科なのかアレルギー科なのか」というお話です。これは基本的には乳児のアトピー性皮膚炎であったら、皮膚科に行かれると、さっき申し上げたような皮膚からのアプローチがかなり強いということを知っておくべきだろうし、小児がベースの方だと、小児のアレルギーから来るほうにウエートが行きます。私や伊藤先生はどちらかというとその中間なんですよ。両方のことをきちんとやるということがすごく重要です。だから、どっちに行ったらいいかというご質問は難しいんですよね。その辺のバランスがうまく取れた先生のところを受診されるというのが、きっと正解かなあと思います(笑)。

それから、「アトピー性皮膚炎の詳しいドクターに、ワセリンとかプロペトを使うことを否定された」というご質問ですが、これは、夏にワセリンをベタベタ塗ってはダメなんですよ。例えば、皮膚を洗わないでワセリンをベタベタ塗る人がいます。そうするとどうなるかというと、毛嚢炎を起こします。

これは当たり前のことですけれども、何かを皮膚に塗るときは、必ず皮膚を洗ったあと。それで、夏の気象条件とか冬の気象条件とか、そういうのをよく考えてください。これはもう常識的な話の範囲になってくると思いますけれども、皆さんだってそうでしょう。いま、皮膚が乾燥して何か塗っていません? 夏にベターッというのを塗って外に出ていったら、日焼けしちゃって大変ですよね。その辺はごくごく当たり前の対応でお願いします。

そのほかに、インタールの薬についてのご質問が2件ぐらいありました。インタールという薬は効く方にはすごく効くこともあります。でも、うちの病院で2、3千名の患者さんを診ていますけれども、うちの病院の方針は基本的に使わない主義なのです。伊藤先生はどうか、ちょっと聞いてみたいと思います。

伊藤インタールを使う目的は食物アレルギーではないんです。インタールというのは形式的にも適応症は、食物アレルギーの関係するアトピー性皮膚炎、湿疹の治療のために使う。

インタールを飲んでいたら、ふだん食べられないものが食べられるようになるかというと、そんなことはないです。必ず反応します。じゃあ、何のために飲むかというと、少しインタールを飲んでいると、実際には除去していないけれども、腸の粘膜でわずかに反応しているような部分ぐらいは抑える。そうすると、腸の粘膜が傷んでくることを予防するぐらいの力はあって、微妙に日常的に吸収しているアレルゲンで湿疹が続くことを治せるかもしれない、そんなようなイメージです。

だから、1回飲んだら次に食べて大丈夫とか、そういう問題ではないですし、食事の前に継続的に飲んでいって、何となくすっきりしなかった湿疹に手応えがあれば、「ああ、効いたね」と。あくまでも湿疹を対象にしてやります。すごく手応えがあったというふうに感じられる方は、実はそれほど多くないです。

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