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財団法人母子健康協会 第30回シンポジウム 「保育における食物アレルギーの考え方と対応」
3.「幼児期の食物アレルギーへの対応」

あいち小児保健医療総合センター 中央検査部長兼アレルギー科医長 伊藤浩明先生

3.集団給食の始まり

次は皆さんの立場です。幼稚園・保育園に入ってきます。給食が始まります。給食の中でいろいろな対応をしなければいけないので、皆さんがどういう構えで、どういう給食対応ができるかということが問われるわけです。

学校関係は、日本学校保健会というところが平成20年4月にガイドラインを出しました。とてもよくできているガイドラインで、その中に「3つのポイント」というのが書いてあります。これはなかなか気が利いています。

1番は、職員がアレルギーに対して知識を身につけてください。

2番が、アレルギーを持った子どもの情報を全部の職員が共有して、いろいろな職員がちゃんと、その子どものことを知っていてください。

3番が、緊急時の対応についてすぐ動けるように常に準備をしていてください。

この3つが大事なポイントです。これは保育園でもそのまま当てはまるのではないかと思います。

その中で、どこまでの給食対応ができるか。卵の除去。でも、ある程度は食べられるという子どもに対して、食べられるものをどこまで提供するかという加減が出てくると思います。恐らく現状では、学校給食よりも保育園の皆さんのほうが、きめこまやかなというか、一人ひとりの子どもに見合ったレベルまで食べさせてあげようという努力をされているのではないかと思います。しかし、家庭でしっかり食べている、家庭で食べていて安全性が十分確認できているものについて、保育園・幼稚園の給食として提供する、というのが基本であるべきだと思います。

中には、これまで除去していたけれども、負荷試験が陰性だったから解除を進めましょうと言っている子どもがいるわけです。家では、これだけの量まで食べましょうという目標で食べてもらっている、お母さんにそういう指導をしています。でも、その挑戦は基本的には家庭でやるべきことであって、そこの挑戦は保育園の給食でやるべきことではないと思います。だから、家では少し積極的に食べて、時には失敗して症状も出るけれども、保育園は一歩引いて、ちょっと安全域を見たところの給食を提供しましょうと。そういう関係で続けられるのが一番リーズナブルなところかと思います。

定期的にそういう話し合いをしていかないと、実は家庭ではもう何ともなく食べているのに、保育園で一生懸命除去が続いているという場面が生まれるかもしれません。あるいは逆に、「私の手で食べさせるのが怖いから保育園で食べさせてほしい」(笑)などと言うお母さんがいますよね? どこにもいます。これはちょっと困るなと思いますけれども、でも、せっかく保育園で、「この子、こんなに食べても大丈夫なんですよ」ということがわかったら、それを積極的にお母さんにフィードバックしてあげることも、やはり子どものために必要なことではないかと思います。

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