母子健康協会 > ふたば > No.74/2010 > 保育における食物アレルギーの考え方と対応 > 1.食物アレルギーへの考え方の今昔 > 免疫の働き

財団法人母子健康協会 第30回シンポジウム 「保育における食物アレルギーの考え方と対応」
1.「食物アレルギーへの考え方の今昔」

東京慈恵医科大学名誉教授 前川喜平先生

免疫の働き

免疫とは人間が、自分の体(自己)とそうでない非自己とを区別して、非自己を排除しようとする働きを免疫と言います。皆様が知っている免疫には次のものがあります。

  1. 異物の病原体の場合:免疫は生体にとってなくてはならない防衛力です。つい最近、インフルエンザが流行りましたが、予防接種を打つと抗体ができます。これは体に免疫ができるからです。抗体は流血中に存在し防御するのでこれを液性免疫と言います。インフルエンザとか、小さい細菌は白血球が食べ、その情報がリンパ球に伝わり抗体ができます。結核菌や、排除するのが、ここに書いてある細胞免疫です。これは理解が難しいですけれども、そういうことです。
  2. 異種蛋白に対して局所的または全身的に不利な障害を引き起こすのが、アレルギーです。卵、牛乳などです。同じ免疫でも、体に対して不利、ためにならない反応がアレルギーです。
  3. 生体の恒常性を保つ働き:私たちの体は60兆個の細胞から構成されています。臓器や組織の細胞が一定期間で入れかわっています。60兆の細胞が同じものができるのは不思議でしょう?再生の過程ででき損ないがたくさんできてくるのです。それを排除するのが免疫の力なのです。
    ところが、年を取ってくると、この免疫の力が弱くなって、言うことを聞かない、見過ごしてしまう細胞ががん細胞です。
  4. 自己免疫疾患:美空ひばりを知っているでしょう? 
    あの人の病気は自分の組織や細胞を、非自己と誤って認識して攻撃して起こす病気で、自己免疫疾患というものです。自分の体をほかのものと認識して攻撃するために、病気が起こるわけです。昔言われていた膠原病というものです。全身性エリテマトーデスとか、関節リウマチとか、いろいろの病気がこれです。
  5. 移植免疫:治療のために移植した他人の組織や臓器を排除しようとする反応です。
母子健康協会 > ふたば > No.74/2010 > 保育における食物アレルギーの考え方と対応 > 1.食物アレルギーへの考え方の今昔 > 免疫の働き
事業内容のご紹介 協会の概要活動の概要設立の経緯協会のあゆみ健康優良幼児表彰の歴史
最近の活動のご紹介
小児医学研究への助成 機関誌「ふたば」の発行シンポジウムの開催 Link:Glico