子どもが受動喫煙から受ける健康被害は非常に深刻ですが、特によく知られているのはSIDSです。わが国での調査では、両親が喫煙する場合、子どもがSIDSで死亡する危険性は4.7倍に増加すると報告されています。
受動喫煙は子どもの気管支喘息や呼吸器疾患のリスクを増大させることも明らかで、家庭内で喫煙する人数が増えるほど、子どもが喘息発作のために学校を休む日数が増えるというデータも出ています。
受動喫煙は子どもの中耳炎の原因になることも証明されています。のどの奥と中耳の間には「耳管」という管が通じていますから、のどに吸いこまれたタバコの煙は、耳管を通って中耳にも侵入するためです。
また、子ども時代に受けた受動喫煙の程度が強いと、成人後に肺がんにかかる危険性が高くなる、とのデータも出ています。子どものそばでタバコを吸うことは、子どもの体にがん細胞を植え付けるような行為と言えます。
受動喫煙は子どもに様々な病気を引き起こすだけでなく、子どもの成長や知能の発達にも悪影響を及ぼすことが明らかになっています。米国の小中学生4,000名余りに読解力や計算能力テストを行った研究では、家庭での受動喫煙の程度が強い生徒ほど試験点数が低いという結果でした。