妊娠中の喫煙の最も深刻な害の一つは、胎児の脳を傷つけることです。
喫煙する妊婦から生まれた子どもは、喫煙しない妊婦から生まれた子どもに比べて知能の発達が劣り、小児期に知能指数にして4〜6ポイント低下するとの報告があります(図1)。成長後の知能に関するデータはまだ少ないのですが、デンマークで18歳男性を対象に調査したところ、喫煙していた母親から生まれた男性では、知能指数が6.2ポイント低かったと報告されています。
さらに近年、妊婦の喫煙と子どもの発達障害の関連についての研究が進み、喫煙する妊婦から生まれた子どもは、注意欠如/多動性障害(ADHD)を発症する率が2〜3倍に増加するとの報告が相次いでいます(図2)。
また、喫煙する妊婦から生まれた子どもは、様々な問題行動を起こしやすく、反社会的行動や暴力犯罪を犯す率が高くなるとの調査結果も出ています。