1.子どもの心の発達(3)
情愛の絆の形成と
エントレインメント
(響き合い)
情愛の絆の形成とエントレインメントと書いてありますが、子どもの心が育つには、サインに対してお互いが応えて、それを繰り返すことで子どもの心は育っていきます。それについて少し話をさせて戴きます。
親子の関係性は、誕生以前から育まれております。子どもは、誕生までの10ヶ月間、母親の子宮内で、母親の生活全てを感じとっています。誕生後も、母親の働きかけに反応して、お互いに行動を起こし合っております。その反応が、穏やかに育まれることによって、段々と絆がつくられていきます。このような響き合い、同調性の反応を、クラウスとケネルはエントレインメントと名づけております。
幼児期になると、子どもみずからの探索が始まります。遊びすなわち学びとなります。よく遊ぶことがよく学ぶことなのです。大人との人間関係が安定していると、自信を持って母親から離れ、未知の世界への挑戦をしようと試み、新しい発見が見つかります。子どもの育ちに寄り添うことは、子どもが安全で安心してみずから学び、遊ぶという環境を整えることが、最も大切なことです。この場合、子どもは何ができ、何ができないかの視点ではなくて、愛着形成と探索行動から子どもを見ることが大切です。
親は、子どもの誕生によって生物学的には親になりますが、いわゆる親として成長するのは、子どもを育てることの実体験に基づいて親として育っていきます。つまり、親は、子どもが3歳になれば、親年齢も3歳になると思うことが大切です。
子どもへの眼差しは、安心・安全な基地を保障することですけど、乳幼児の心の育ちには、生活基盤の安全基地の保障、対人関係の安全基地の保障、それから社会性(生活している場所や時間の中で自分の存在を感じること)の安全基地の保障などがあります。
生活基盤とは、日常の衣食住であり、家族機能としての経済的側面も含まれます。対人関係では、何といっても母親との関係ですし、家族を形成している父親との関係もあります。
生活基盤とは、日常の衣食住であり家族機能としての経済的側面も含まれますし、対人関係では、何といっても母親との関係ですし、家族を形成している父親と子どもとの関係もあります。
社会性の保障とは、子どもが家族として存在していること、そのことが家族にとって意味ある存在であることを子どもが感じられるような生活を送ることです。これによって、子どもの自尊感情、自己肯定感が育ちます。
希薄な関わり ネグレクト・心理的虐待
- ①親自身のことを優先して考え、親役割や責任に欠ける
- ②子どもの生活リズム・生活習慣・衣食住などが整えられない
- ③子どもの発達に合せた対応・時間共有ができない
- ④子どもの意図・サイン・気持ちが汲み取れず、寄り添うことができない
これは希薄な関わり方の図です。希薄な関わり方とは、親自身のことを優先して考え、親役割や責任に欠けている、子どもの生活リズム・生活習慣・衣食住などが整えられない、子どもの発達に合わせた対応・時間共有ができない、子どもの意図・サイン・気持ちが酌み取れず、寄り添うことができない等です。
過剰な関わり方は、力を持って子どもを制する、子どもを否定・否認する態度をとる、威圧的な言葉かけ・叱責・怒りを子どもにぶつけ・コントロールする、子どもに過剰な干渉をする、理想や期待を押しつけるなどです。
過剰な関わり 身体的虐待・心理的虐待
- ①力を持って制する
- ②子どもを否定・否認する態度を示す
- ③威圧的な言葉掛け・叱責・怒りを子どもにぶつけ制御する
- ④子どもに過剰な干渉をする・理想や期待を押し付ける
この図は、適切な範囲のかかわり方があって、その両側に過剰なかかわり方、希薄なかかわり方があります。その程度により、グレーゾーン、イエローゾーン、レッドゾーンとなっています。過剰な関わり方の最終的なことは身体的虐待と心理的虐待、希薄な関わり方の最終的なものはネグレクトと心理的虐待です。グレーゾーン、イエローゾーン、レッドゾーンは関わり方の程度で軽度、中等度、重度を表しています。
適切な範囲の関わり方は親が子どもの好きなことを一緒に遊び、親も喜びを感じる、子どもの長所、短所、よいところ、悪いところを丸ごと受け入れるということです。どんなときでも子どもの味方になるということです。
愛着形成があり、励ましと褒めることによってしつけは達成されます。怒るときは感情的にならない。3秒待ち、どんなことがいけなかったかを具体的に説明します。一回で理解したとは思わない、直らないのが当たり前です。子どもの気持ちを酌んでください。どうしてそんな気持ちになったのか、話を聞く、結論をすぐに出さない。何回も話し合ううちに、自然に問題は解決していきます。