3.保育における愛着形成(1)
ただいまご紹介いただきましたさやま保育サポートの会の諏訪でございます。よろしくお願いいたします。
私は、さやま保育サポートの会を友人と立ち上げまして14年目になりました。実際にやっている事業は、よつばのおうちという定員19名の地域保育所と、子育て広場、4つの学童保育と保育講座の企画運営、それから訪問型家庭支援という、外に出かけられない母親の家庭に出向いて支援などを行っています。言うならば子育て支援事業中心のNPOでございます。その前には明星大学に勤めていましたので、大学等で研究してきたことも含めて、お話しさせていただきたいと思っております。
レジュメの中にところどころ誤字脱字もあったりするかと思いますが、私も年を重ねてまいりましたので、母子健康協会のほうでもチェックをしていただきましたけれども、もしありましたら、お許しいただきたいと思います。
グリコといえばゴールインマークが大変有名ですが、この母子健康協会がグリコの創業者のつくられたものだということは全く知りませんでした。グリコといえば、おまけが欲しくて、しょっちゅうおねだりしてグリコキャラメルを買ってもらっていたことを思いだしました。また、私の妹の伴侶である義弟がグリコに勤めておりましたので、新しい製品ができると、時折食べさせてもらっていました。けれども母子健康協会が昭和9年につくられ、母と子の健康のために私財を投げ打ってこのような事業を続けてこられたことは初耳です。
その事業の一つであるこのシンポジウムも39回目とか。前川先生はそのうち24回を支えていらしたそうで、このような伝統のあるシンポジウムに、尊敬する先生方とご一緒に参加できる場をいただいたことに大変感謝しております。
随分前になりますが、前川先生と井原先生がお書きになった『親と子のカルテ』という本を読ませていただいていて、移行対象という言葉を知りました。子どもたちが園に大事そうに抱えてくるぬいぐるみとか、タオルや毛布。かなり汚くなっているものもありますから、園の先生方は子どもたちが取りっこしたり、それにこだわると面倒だというので、さっと取り上げて親に渡したり、「はいはい、これね、先生、しまっておくから」と隠したりしますね。その行為をどう思われますか?さらに井原先生の『ぬいぐるみの心理学』を手にして、それら子どもの「お気に入りのもの」が、子どもの心の拠り所として子どもにとってとても大事なものだと知りました。それ以来、私は井原先生の隠れファンなのです。従いましてこのような機会を与えていただいたことを大変うれしく思っております。
さて私がここでお話ししたいことは三点あります。一つは、私が愛着理論、アタッチメントにどういう形で出会ったかという経緯をお話したいと思います。その中でその理論的バックボーンとなっていたJ.ボウルビィ(1907-1990)への私自身の対応についても触れたいと思います。
二つ目にお話しするのは、保育の中での愛着形成についてです。そこが今日のお話の中心点でありますが、その中で、乳児保育(0歳児保育)がなぜ否定されつつ拡大したかという経緯についてもお話したいと思っています。
そして三番目は、まとめですが、これからこんな保育を皆さんがつくり出してくださったらいいなという希望や期待を、実践事例を通して述べさせていただいて終わりにしたいと思っています。