2.アタッチメントと育て直し(7)
次の図は母子関係のメンタル面の関係です。
母子の関係をこういうふうにみる。子どもというのは、自分の怒りとか不安を、ぐずったりとか、いろいろな形で母親に出すけど、母親はそれを物思いにふける、思いをめぐらす。そして、ぐずりの怒りの中にある毒を消して子どもに返すと。毒消しをして返すという機能がある。こんなこと、完璧には無理です。だから、周りにいる人、一番出てくるのはパートナーや周りがサポートする。こんなに大変なことをやっているんだから、サポートする。保育士さんは子どもにとって、日常のサポーターですから、そういう心構えでやるということが大事です。
インターネット、私、ここまでやらなかったのは、炎上したり、名前を出さないでくそみそに言うというか、見ているだけでも気持ちが悪くなることを言い合うのがすごく嫌です。匿名性の中でね。やっぱり面と向かって言えることを相手の立場を尊重しながらというのが、私は人間関係のひな形だと思うのです。それを皆さんは作ってくださっているというように私は思っています。
次、お風呂にお父さんが入れている。例の遊びの読本で、お父さんが絵になっているのは、やっぱりお父さんにしてほしいという思いを込めて、遊んでいる相手は結構お父さんにしたのです。今では割と当たり前になりました。
中井久夫先生っていう私の尊敬する精神科医が言っていたんですけども、自分にも娘がいる。だけど、性的虐待というのを想像できない。それは自分が精錬潔白な人間であるわけではなくて、小さいころから自分で女の子をお風呂に入れていた。そうすると、いつまでたっても女にはならない。自分の女の子だという感覚しかないからだとを教えてくださって、なるほどと思いました。
私にだってありますよ、娘を女性として見るって。うちの場合は、娘が抱きついてくると、私は逃げて、それで、「お父さん、私のこと嫌いになった?」って、「いや、そういうわけじゃなくて」っていう。「お父さん、恥ずかしがりなんだよ」っていう説明をしていました。それは誰にでもあるんですが、それをもう少し普遍化して話すと、性的虐待をするお父さんとそうでないお父さんの違いはこういうことかなと思います。
次は摂食障害の人の直っていくプロセスで、家族みんなで料理をするようになったということがとても印象的なケースです。
5年生ぐらいでこうやってお母さんが子どもと一緒に、この場合、作る場面があるでしょう?そして大体横で見ているお父さんが人身御供になって(笑)、お父さんに食べさせようってことで、「お父さん泣いてる、よっぽどおいしかったんだね」っていう話になっちゃう(笑)。ケースの中でそういうエピソードが起こって、家族がもう一回再生していくプロセスを見て考えました。ここには、すごく深い意味がある。その子は中2でした。中2でそういうことをやったということは、大分おくれています。遅れていると同時に、赤ちゃんだとわがまま放題になるが、中学校になっていると、そこまで退行しなくても、赤ちゃん返りしなくてもやり直せるんじゃないかなと考えます。