3.保育における愛着形成(11)

また別の園では、個別的に対応するために、一人一人の日課をつくって対応しているところもありました。そこでは一人一人に対応するために、A先生、B先生、C先生…の細かい動きを整理しています。

④個別的な日課の実施

担当の子どもひとりに丁寧にかかわっているときに、あとの担当の子を誰が見るかというようなことまで配慮して、担任間の連携を明確にしている園もあります。

⑤担任間の連携-食事時間の子どもの活動と保育者の仕事-

その後も私は、ずっと自分が望ましいと思う保育を実践してくれる園を探し、その園とタグを組んで研究と実践に取り組んできました。その中の一つに新宿区立S保育園の3年に及ぶ園内研修があります。スタッフ研修の仲間入りをさせてもらい、その実践をまとめた本が『かかわりのなかで育ちあう』(フレーベル館 1992)という本です。この中で、今は亡き岩田恵美子園長がこんなことを述べています。「子どもからの保育は、子どもの全面受容に始まり、子どもの自立へと発展する。保育園だからこそ子どもは育つ」と言い切っています。子どもの内面での物や他児へのこだわりが、保育者にべったり甘えていた子を保育者から引き離していく。だからこそ、保育者が子どもを全面受容して甘えさせても大丈夫なのだとも言っています。子どもの本質に深く迫る実践を通して、こういう確固としたメッセージを保育者や保護者に発せられる園長になっていったのですね。

⑥信濃町保育園保育者研修の三年間

この他にも同じスタイルで『保育が変わるとき』(1990)、『保育者が変われば保育が変わる』(2003)などの本をまとめましたが、保育者と協働してこれらの本をまとめられたことを、今なお、大きな喜びとしています。保育現場は、一定の保育条件に縛られつつも、子どもをどう安全に保育し、子どもに安心感を与えていくか、ギリギリのところで工夫しています。その営みを掬い取り、保育の質を担保する方法として定着させていくことが、遅々とした歩みのようですけれども、保育研究者に求められているのではないでしょうか。保育の場に足を運び、保育者と一喜一憂しつつ保育データを集め、分析し、保育のあり方を共有していくことが、今も、重要な営みと思います。