2.アタッチメントと育て直し(3)

例えばアイコンで泣いている猫の絵がついている。それの送り方がわかったので、いつも安易に泣いている猫を送ってばかり、考えなくなる、テンプレートになります。猫の困り方や鳴き方だっていろいろあります。今の学生を見て言えると、そういうのをパパパパッとやっちゃうのです。あの能力はすごい。だけど、情緒的に困ったときとか、嫌になったときに、嫌になった相手からどんないいところを引き出すかとか、そういうのは多分ほとんど育っていないと思います。

つまり、昔であったら、今日ここにお見せしているスライドにも例が大分入っていますけど、普通だった遊びがわからない。お見せしている絵は20年ぐらい前に『ゆうゆう子育て』という遊びの本をつくった中のものです。当時は笑われました。なんでこんな誰でも知っている遊び教本が必要なんだと。でもその後、だんだん需要が増えて、遊び方を指南する本としてずっと売れ続けた、隠れたベストセラーです。最初は、厚生省への宝くじ協会か何かの寄附金を2,000万円ぐらいもらったお金でつくって全国の保健所に配布した本でしたが、店頭で売る本になった、今も売っているかもしれませんが、そういうことになった。この経過にあらわれているように、当たり前としてあったことを、どうやって教えていくかが必要になっている、とても難しい時代です。

イナイイナイバー(分離と再会) 発達版 お風呂遊びとリラックス 発達版
一人言を聞くで見守ること 発達版 おいしいものを作る

一口で言うと、知的なこととクイックレスポンス、それはものすごく早いし、ほとんどめまいがしてついていけないくらいですが、しかし、困った相手とどうつき合うかがわからない。そこで困った相手とは、関係を閉じて着信拒否にすればいい。そういうおつき合いしかできなくなっている。こうした課題を親子で学び直す必要が出ます。私も入れて3人で、私は男性ですので、お母さんと男性である私と子どもでちょうど家族の基本形態みたいな形になって、いろいろなことを思いつき、考え工夫し喜び合った記録が、次ページの表です。

育て直しと発達の里程標

こういうことをずっと前任校のときからお話ししてきましたが、それが結構いいみたいで、昔だったら大学の先生がそんなこと教えるなんてなかったのでしょうが、そういうことを、いろいろ理屈と理由をつけて話していくことが一つの仕事になるぐらいの環境の変化があったと思います。いいも悪いもないですね。よくなった部分もあれば、それによって取り残されていくものもある。

はまるほうなので、昨日、スマホを買って、はまっています。だから今日は、ちょっと寝不足です。

ということで、あたらしいいツールはいい面もあるし、おもしろい面もあるけど、必ずそれは置き去りにする部分、見えない当たり前としてあった空気のようなものが、欠けて行って、欠けたこともと見えなくなる。親子もそうです。関係として自然にあったことが見えなくなってしまう。それを可視化していって、目に見えるようにして、学んでいくことが1つの仕事になったということです。私は、欠けた人がどんなふうに埋めればいいかというのをやってきた。それが一言で言うと、「育て直し」ということだと思います。

後でご覧になって、わかるような形で解説ができればいいと思っております。