3.保育における愛着形成(5)

このような経緯を経て、次第に乳児保育、3歳未満児保育を利用して働き続けようとする母親たちが増えてきています。こうした社会的な支援体制をとらない限り、母親は家事・育児のために仕事を辞めざるを得ないからです。毎年「保育所落ちた!」と社会現象となっている待機児問題も、主に3歳未満児保育の枠をめぐって生じているのです。

3歳未満児の年齢別入所児童数の推移を1990年を100とした指標で見てみますと、2011年の時点でもっとも増加率の高いのが1歳児で245.9、次に0歳児の212.1、そして2歳児の183.1となっています。「育休ができれば0歳児保育は減る」と言われていましたが、0歳児、乳児保育もこの間に2倍以上になっています。そして一年間の育児休暇取得のあと職場復帰する母親にとって、1歳児を保育所に入れるのは至難となっており、ここにもっとも鋭く待機児問題が集約されています。

3歳未満児の年齢別入所児童数の推移

新しいデータでは、2018(平成30)年の年齢区分別利用児童数(保育所・幼稚園型認定こども園等、地域型保育事業等を含む)は、総数2,614,405人(100%)、その内訳は低年齢児(0~2歳)が1,071,261人で41.0%を占め、うち0歳児は149,948人(5.7%)、1・2歳児は921,313人(35.2%)となっています。「3歳までは母の手で」といわれる0~2歳児が、100万人以上も朝になると親に連れられて園に通い、親が仕事を終えて迎えに来るまで、長い時間を園で過ごしているわけですね。

私は子を託す母の立場からもまた保育研究者としても、長時間・長時間保育を受ける子どもたちの生活のあり方、保育の質を問わずにいられなくなって、そこから「保育の中の愛着形成」を研究テーマにするようになりました。